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関修一の世界 キャラクターデザイン・ワンダーランド 画集発売日:4月21日 フジテレビ世界名作劇場などのキャラクターデザインで知られ、 現在でも第一線で活躍中のアニメの巨匠・関修一。 関修一が描くやさしさとシャイと芯の強さを秘めたキャラクターたちは、今でも大人気。 その代表作を集約した初の原画作品集が本書です。 1983年放送。南の虹のルーシーに続く世界名作劇場シリーズ第9作。Amazonインスタントビデオが配信開始。 第10作に牧場の少女カトリがある。 http //www.nippon-animation.co.jp/work/alpsmonogatari_watashinoannette.html 監督 楠葉宏三 原作 パトリシア・セント・ジョン 脚本 吉田憲二 キャラクターデザイン 竹松一生 美術 井岡雅宏、阿部泰三郎 美術補佐 松宮正純 色指定 宇野薫 撮影監督 黒木敬七 編集 瀬山武司 録音監督 小松亘弘 効果 伊藤修 整音 田中英行 音楽 広瀬量平 監督助手 中村憲由 アニメーション制作 日本アニメーション 脚本 吉田憲二 絵コンテ 楠葉宏三 黒川文男 横田和善 清瀬二郎 岡部英二 杉村博美 斎藤次郎 作画監督 竹松一生 佐藤好春 前田英美 Amazonインスタントビデオ:アルプス物語 わたしのアンネット Ep. 1 "アンネットとルシエン" 再生時間:25 分 初公開日/初回放送日1983年1月9日 ■関連タイトル DVD アルプス物語 わたしのアンネット 1 関修一の世界 キャラクターデザイン・ワンダーランド 世界名作劇場35周年記念 世界名作劇場 オープニング エンディング集 DVD 世界名作劇場・完結版 アルプス物語 わたしのアンネット 竹書房文庫 三田ゆいこ/アルプス物語 わたしのアンネット 日本アニメーション 世界名作劇場 主題歌・挿入歌大全集 第2集
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東方Projectゲームリンク ※この記事では同人ゲームが原作の作品群を扱っています。 同人ゲームは本Wikiでは執筆禁止となっています。企業から発売されていない作品は執筆しないでください。 公式作品 シリーズ概要 二次創作作品 関連作品 公式作品 ※時系列をわかりやすくするため、企業パブリッシングが行われていない作品も表に入れています。ただし同人ゲーム作品は本Wikiの規定により執筆禁止です。 機種 弾 タイトル 概要 判定 シリーズ作品 (PC98) 1 東方靈異伝 ~ The Highly Responsive to Prayers. ZUNの大学在学中に制作された、いわゆる「旧作」と呼ばれるシリーズ。『東方靈異伝』のみブロック崩しゲームだったが、それ以外はSTGである。6弾以降とはキャラクターデザインやその設定などが大きく異なる。 執筆禁止 2 東方封魔録 ~ the Story of Eastern Wonderland. 3 東方夢時空 ~ The Phantasmagoria of Dim.Dream. 4 東方幻想郷 ~ Lotus Land Story. 5 東方怪綺談 ~ Mystic Square. (Win) 6 東方紅魔郷 ~ the Embodiment of Scarlet Devil. ZUNの就職後に復活したシリーズ。ここから本シリーズの認知度が急上昇。 7 東方妖々夢 ~ Perfect Cherry Blossom. 8 東方永夜抄 ~ Imperishable Night. Steam 9 東方花映塚 ~ Phantasmagoria of Flower View. この作品で登場する風見幽香は幻想郷以来の再登場になる。 10 東方風神録 ~ Mountain of Faith. 『東方紅魔郷』への原点回帰を掲げ、ストーリーやシステムがシンプルにまとまった作品。 11 東方地霊殿 ~ Subterranean Animism. 低難易度でも難しいとする人が多いほど仕様とパターン作成実行への習熟が要求される作品。 12 東方星蓮船 ~ Undefined Fantastic Object. 13 東方神霊廟 ~ Ten Desires. 14 東方輝針城 ~ Double Dealing Character. 15 東方紺珠伝 ~ Legacy of Lunatic Kingdom. 20周年記念作。ミスすると特定地点からやり直せる「完全無欠モード」登場。 16 東方天空璋 ~ Hidden Star in Four Seasons. Steamで最初に配信された公式作品。 17 東方鬼形獣 ~ Wily Beast and Weakest Creature. 18 東方虹龍洞 ~ Unconnected Marketeers. 19 東方獣王園 ~ Unfinished Dream of All Living Ghost. 花映塚以来の対戦型弾幕シューティングゲーム。 スピンオフ Steam 9.5 東方文花帖 ~ Shoot the Bullet. 目的は弾幕を「撮る」こと。ジャンルも「弾幕撮影ゲーム」となっている。 12.5 ダブルスポイラー ~ 東方文花帖 上記の続編にあたる。 12.8 妖精大戦争 ~ 東方三月精 書籍『東方三月精』のその後を描いた作品。 14.3 弾幕アマノジャク ~ Impossible Spell Card. タイトル通り避け困難な弾幕を、トンデモアイテムで切り抜ける。 16.5 秘封ナイトメアダイアリー ~ Violet Detector. 『ダブルスポイラー』同様の弾幕撮影ゲーム。 18.5 バレットフィリア達の闇市場 ~ 100th Black Market. 黄昏フロンティア合作 (Win) 7.5 東方萃夢想 ~ Immaterial and Missing Power. 同人サークル「黄昏フロンティア」との合作による弾幕格闘アクション。「公式スピンオフ作品」としてナンバリングされている。 執筆禁止 10.5 東方緋想天 ~ Scarlet Weather Rhapsody. 12.3 東方非想天則 ~ 超弩級ギニョルの謎を追え 13.5 東方心綺楼 ~ Hopeless Masquerade. PS4 14.5 東方深秘録 ~ Urban Legend in Limbo. 『心綺楼』の続編的作品。公式作品では初のコンシューマ機発売。 PS4/Switch/Steam 15.5 東方憑依華 ~ Antinomy of Common Flowers. Switch/Steam 17.5 東方剛欲異聞 ~ 水没した沈愁地獄 シリーズ概要 同人サークル「上海アリス幻樂団(*1)」によって制作される「弾幕系縦シューティングゲーム」シリーズ。タイトーの元社員で長野県出身のクリエイターであるZUN(ズン)氏によって創始された。 同人サークルを名乗ってはいるものの、一部作品を除いてグラフィック・音楽・プログラムのほぼ全てを個人で制作している。 「幻想郷」で起こる事件を弾幕ごっこで解決することが各作品の大筋で、主人公は巫女の博麗霊夢と魔法使いの霧雨魔理沙(*2)。 日本の古典や神話などをベースとした和洋折衷の世界観と、それらをBGMやキャラクターの意匠・設定で表現する手法が高く評価されており、海外でも一定の知名度がある。 「東方は詳しく知らないが大きなリボンを付けたの巫女と金髪魔法使いは見たことがある」という人も多いのではないだろうか?「ゆっくり」で認知している人も多いかもしれないが。 ZUN氏の大学在籍中にPC-9800シリーズ用に5作品(通称 旧作)が発表され、その後ZUN氏の就職後にWin用に再始動した経歴があり、一般的にシリーズ作品としての知名度が高いのは後者である。 ちなみに、第○弾という通し番号はこの旧作から連番で振られており、スピンオフ作品も「公式」となるものには小数点以下でナンバリングが振られる。 長らく同人ゲームとしての販売にとどまりメディア露出も少なかったが、2017年からSteamでの配信を開始。発売元はメディアスケープ株式会社となっている。 これまでに何回かに分けて配信がされているが、旧作5本と『紅魔郷』~『永夜抄』の3本の計8本は配信の目処が立っていない。 少なくとも『紅魔郷』に関してはZUN氏は自身の出演するラジオ番組で「Windows 10で動かない(*3)」「exe作り直しによるOS対応はソースコードがないためできない」と明かしており、加えてリメイクを行わないため今後もSteam発売は絶望的と思われる。 二次創作作品 ※Steamでは東方二次創作作品が大量にリリースされていますが、企業からのリリース以外は掲載禁止です。また、ソーシャルゲームは掲載しないでください。 機種 タイトル ジャンル 概要 判定 PS4 幻想の輪舞 2DACT リリースにあたり『旋光の輪舞』のグレフとライセンス契約をしている。 PSV 不思議の幻想郷 -THE TOWER OF DESIRE- RPG ローグライクRPG。下記の発売と共に本作は配信終了。 良 PS4/Switch/PSV 不思議の幻想郷 TOD -RELOADED- 完全版。 良 PSV ダブルフォーカス~文と椛の弾丸取材紀行~PlayStation Vita Edition 2DACT 横スクロールアクション。 PS4/Steam 東方紅輝心 3DACT 見下ろし型の3DアクションRPG。 PS4/Switch/PSV 東方蒼神縁起V RPG PS4/Switch/PSV/Steam 東方スカイアリーナ・幻想郷空戦姫-MATSURI- CLIMAX 3DACT PS4/Switch/PSV 東方紅舞闘V 3DACT PS4/Switch まりさとアリスのトラップタワー PZL PS4/Switch ヨイヤミドリーマー 2DACT 横スクロールアクション。 PS4/Switch/PSV 東方幻想魔録W RPG PS4/Switch/Steam 舞華蒼魔鏡 2DACT PS4/Switch/Steam 幻想郷ディフェンダーズ 3DACT タワーディフェンスゲーム。 Steam レミャードリィ RPG PS4 永遠消失の幻想郷 2DACT ゲームシステムは本編と類似するが、グラフィックは3D。 Steam マリサランド・レガシィ 2DACT 横スクロールアクション。 Steam 天壌のテンペスト 2DACT Switch/One/Win Touhou Luna Nights 2DACT 初の原作者公認作品。メトロイドヴァニア式の横スクロール探索アクション。 PS4/Switch 不思議の幻想郷 -ロータスラビリンス- 3DACT 『TOD』の続編。アプデ版『R』の配信開始で終売。 PS4/Switch 不思議の幻想郷 -ロータスラビリンスR- 大規模アップデートの末別タイトルに。無印版にも無料で同内容が適用。 Steam フランの夢は睡深36,000歩 RPG 「RPGアツマール」からの移植。 Switch/Steam 東方少女綺想譚 ARPG 『スーパーマリオRPG』をオマージュした作品。ストーリーはオリジナル。 Steam サードアイ ADV 『東方地霊殿』のEXTRAボス「古明地こいし」を操作するマルチエンディング式のホラーゲーム。 Steam 幻想郷萃夜祭 2DACT Steam 魔理沙の不思議な魔法具店 SLG PS4/Switch/Steam 幻走スカイドリフト RCG 『マリオカート8』の開発に携わったEIKI氏が制作したレースゲーム。 Switch 東方幻想麻雀 TBL 東方キャラどうしで能力麻雀。オンライン対戦もできる。 なし Switch 東方スペルバブル ACT/PZL 『パズルボブル』をベースにタイトーが制作。 良 Switch 秘封ぼうえんきょう RPG Switch/Steam ヨイヤミダンサーズ STG 弾幕アクション×リズムゲーム。 スルメ Steam 幻想討幻経 3DACT 3D空中弾幕「ハンティング」アクションRPG。 Steam 東方流星譚 3DACT PS4/Switch 東方の迷宮 -幻想郷と天貫の大樹- RPG 『世界樹の迷宮』ライクなダンジョンRPG。 Steam 秘封フラグメント ADV Steam 東方ドールドラフト TBL Steam 三妖精のぴょこぴょこ討伐大作戦! RPG Switch/Steam クビナシリコレクション 2DACT/PZL Switch 幻想少女大戦 -DREAM OF THE STRAY DREAMER- SRPG スパロボの要素を盛り込んだSPRG。 Steam Takkoman -Kouzatsu World- ACT Switch/Steam 紅魔城レミリア 緋色の交響曲 ACT AC 東方電幻景 STG 同人PCゲーム『東方幕華祭』の移植版。 Switch 東方覚醒珠玉 ~ Fan-made Virtual Autography. STG Switch 幻想ガーデン物語 ~第一産業 ゆうかりん~ SLG PS4/PS5/Switch/Steam 東方シンセカイ ACT Switch/Steam 紅魔城レミリアII 妖幻の鎮魂歌 2DACT Steam 東方ダンマクカグラ ファンタジア・ロスト 音楽 サービス終了した同名スマホゲームのPC向け移植。 Switch とうほう夜雀食堂 SLG ※2024年8月2日以降記事作成可能。 関連作品 ※音楽ゲームジャンルにおける東方Projectのアレンジ音楽収録やキャラクターのゲスト出演は非常に多いため、シリーズ記事があるもののみそちらを記載しています。下記に記載の無い音楽ゲームタイトルはWikipediaを参照。 機種 タイトル 概要 判定 音楽ゲーム BEMANIシリーズ ゲキ!チュウマイシリーズ タイトー音楽ゲームシリーズ 太鼓の達人シリーズ その他のゲーム PS2 ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国 ZUN氏が開発に関わっており霊夢がモチーフの「ハクレイのミコ」が登場。 良 ラクガキ王国2 魔王城の戦い ZUN氏は直接関わっていないが、ハクレイのミコがリファインされて続投。 良 PSP ねんどろいど じぇねれ~しょん 霊夢、魔理沙、レミリアのねんどろいどが登場。 AC LORD of VERMILION Re 2 『~再征~』のバージョンに霊夢と幽々子が登場。 頭文字D ARCADE STAGE Zero コラボイベントを実施。クリア報酬として東方キャラの「痛車」にできるボディパーツを入手可能。全3回のイベントで合計6名のキャラクターのボディパーツが配信された。 賛否両論 頭文字D THE ARCADE 賛否両論 Switch/Win 勇者ヤマダくん コラボダンジョン「弾幕輝珍城」がアップデートで追加。針妙丸、霊夢、魔理沙、ZUN氏本人が敵として登場。 バカゲー PS5/PS4/Win/Switch 超次元ゲイム ネプテューヌ Sisters vs Sisters 同サークル名の擬人化キャラ「上海アリスちゃん」が登場。 なし
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涼宮ハルヒのSS 厳選名作集 長編 涼宮ハルヒの軌跡 「――伏せてっ!」 最初に叫んだのはハルヒだった。しかし、教室にいる誰もその意味を悟ることができず、それに従ったのは俺だけだった。 次の瞬間、教室の窓ガラスが吹き飛び、多数の赤い光球が教室中に撃ち込まれる。悲鳴すら上げる暇もなく、 呆然と突如教室目の前に現れたヘリに呆然としていたクラスメイトたちにそれが浴びせられた。 しかし、俺は床に伏せたままそれを避けるべくダンゴムシのように縮まっていたため、その先教室内がどうなったのか、 激しい判別しようのない轟音と熱気の篭もった爆風でしか俺は知ることができなかった。時折、鉄を砕いたような臭いが 鼻から肺や胃に流れ込み、猛烈な嘔吐感を誘ってくる。 「キョン!」 誰かが俺の襟首をつかみ、俺の身体を引きずり始めた。俺は轟音の中、何がどうなっているのか確認しようと 目を開けようとして、 「目は閉じて! いい!? 絶対に開けるんじゃないわよ!」 耳元に届いたのはハルヒの声だった。どうやら俺を引きずっているのはこいつらしい。目をつむった状態だったが、 今俺が引きずられている方向を推測すると、どうやら教室の外に出るつもりのようだ。 「何だ、どうなんているんだハルヒ! 教えてくれ!」 「良いから黙ってなさい! 教室から出るのが先決よ!」 ぴしゃりとハルヒの声が飛ぶ。 ほどなくして教室外に引っ張り出されたのか、手を付けている床のさわり心地が変わったのを感じた。 この時、俺のすぐそばを何かが高速で飛び去ったのに驚き、思わず軽く目を開けて―― 「…………っ!」 またすぐに閉じた。一瞬見えたのは、ガラスを失った窓ガラス、そして教室の床が赤く染まりその上には、 机や椅子の破片が散らばっていた。だが、その中には見たこともない物体も多数混じっていて…… 戻す寸前だった。その正体不明の物体がなんなのか悟ったとたん、俺の胃が溶けてなくなりそうになる。 一瞬だったというのに、まるで根性焼きか入れ墨を脳に刻まれたように、はっきりと鮮明な一枚の惨劇の写真が ずっと目を閉じても視界に焼き付き続けた。 俺はたまらず教室の方ではない方向へ顔を背けて目を開ける。別の視覚情報を脳内に新規導入しなければ、 ずっとスプラッタ映像が俺の目を支配し続けるからだ。 目を開けた先には、ハルヒのドアップがあった。それも全身血まみれで、セーラー服も半分近く血で赤く染め上げられている。 そして、すぐに俺の顔をつかむと、 「いい!? 誰だかわからないけど恐らく狙いはあたし、あるいはあんた! このままだと生徒を巻き込むだけだから、 とっととここから逃げるわよ!」 「あ、ああ……いや、あ、なんだ、そうなのか……そうなんだ。いや! それよりお前その血は……!」 「あたしのじゃない! 巻き添えになった人のものよ! あたしは何ともない――そんなことより早く移動しないと 攻撃が続けられるだけだわ!」 ハルヒは一方的に話を進めると、俺の手を取って走り始めた。一目散に教室から離れるように走り始める。 そうか。 今俺たちは襲われたんだ。 前に朝倉の襲撃を受けたのと同じように、誰かが俺かハルヒの命を狙って。 そして、その牙は俺たちだけでは収まらず、周囲にいたクラスメイトたち全てを飲み込んだ。 ………… なんてこった。昨日の古泉・朝倉のカミングアウトからハルヒの好印象まで良い感じに進んでいると思った矢先に、 信じたくないような大惨劇が起きた。俺が狙われるのなら、正直まだ救われたかも知れない。すでに経験済みだしな。 だが今回は違う。宇宙人の変態パワーによる襲撃ではなく、現代的な手法による無差別攻撃。これがショックでない奴がいるなら、 今すぐお前に全責任を押しつけてやるから出てきてくれ。 ふと俺は――何となく身を引かれるような視線を感じて、振り返った。そこには、教室の出入り口からこちらをのぞき込むように 見ている朝倉の姿があった。しかも、あのいつもの微笑みまで浮かべてやがる。 あの野郎。無事ならどうして助けてくれなかったんだ。あいつの力ならあんな攻撃楽々受け止められただろう。 いや、それは違う。長門があの15000回以上繰り返された夏の日をなぜ止めなかったのかその理由を思い出せ。 情報統合思念体――その配下にいるインターフェースの役割はハルヒの観察だ。朝倉暴走のように情報統合思念体身内の問題なら 何らかの対処を取るかも知れないが、今俺たちを襲ってきたのはどうみてもただの人間が使う攻撃ヘリである。 だったら連中は手を出さないだろう。ただの人間同士の殺し合いだと判断して。 ふと、隣の六組の前を通りかかったとき、出入り口から中が見えた。そこでは攻撃こそ受けていないが、 目の前を飛び交っている一機の攻撃ヘリの前に悲鳴を上げて右往左往する生徒たちの中で、ぽつんと読書を続ける長門の姿が。 俺は必死に心の中で叫ぶ。助けてくれ長門。お前は誰の好きにもさせないと言ってくれたじゃないか。 だから、せめて俺とハルヒ以外の無関係な人を守ってやってくれ―― しかし、その思いは届くことなく六組の中にも苛烈な銃弾が撃ち込まれ始めた。飛び散る壁や窓ガラスの破片に 俺はただひたすら目を閉じて現実逃避に努めることしかできない。 「降りるわよ!」 俺は激しい脱力感の中、階段を下りていくハルヒの手に引かれて走ることしかできなかった。 ◇◇◇◇ しばらく校舎内を走り回ったあと、俺たちは一階の校舎の隅に一旦身を隠すことにした。いい加減、俺とハルヒの息も 上がりつつあったからだ。 「一体っ……なんだってんだっ……!」 「知らないわよ、そんなことっ!」 俺はひどく動揺していた。一方のハルヒも状況がつかめないせいか、強い苛立ちを見せている。 さっきの攻撃ヘリは俺たちの姿を見失ったのか、学校周辺を飛び回っているだけで攻撃は控えているみたいだった。 四方八方からあのヘリのローターから発せられるバタバタ音だけが校舎の廊下に響き渡っている。 学校内は収拾のつかない混乱状態になっていた。正気を失って逃げまどう生徒、負傷しておぼつかない足で歩く生徒、 動かなくなった生徒を抱きかかえて助けて!と叫ぶ生徒……。中には校舎外に逃げ出そうとする生徒たちもいたが、 攻撃ヘリがそれを阻止するように飛び回っているせいか、誰も外へ逃げ出せていない。見通しの良い場所に ホイホイと出てしまえば狙い撃ちされてしまうかも知れないという恐れがある以上、うかつに出れないのだ。 俺はふと思いつく。ハルヒの能力なら、あの殺人ヘリをなんとかできるんじゃないかと。 だが、それを口にする前にハルヒは苦渋に満ちた表情で壁に拳を叩きつけた。まるで、俺の心の中を読んで、 できるならとっくにやっていると言いたげに。 そうだ。ここでハルヒが反撃なんかできるわけないんだ。この学校には沢山のインターフェースや機関のエージェントが 潜んでいる。万一、ハルヒが自らの力を使ってあの殺人ヘリと戦えば、即座にハルヒは自分の能力を自覚していると ばれてしまうだろう。そうなれば、機関はどう動くかは不明だが、情報統合思念体は即刻全人類ごと抹殺してしまう。 それでは本末転倒だ。 ハルヒの強い苛立ちは、できるのにそれを行えない矛盾の袋小路に対してのものなんだろう。ちっ、となると、 長門や朝倉は助けてくれない、ハルヒは動きを封じられたも同然になるから、一体誰に助けを求めれば良いんだ…… って、一つしかいねぇじゃねーか。この事態を未然に防ぐべき組織がある。機関だ。それを怠って古泉たちは 一体何をやっている!? 俺はすぐに携帯電話を取り出し、古泉にかけてみる。しかし、コールはするもののいつまで経ってもつながる気配はない。 こんな時に何やってんだ。いや、ひょっとして最初の攻撃に巻き込まれたんじゃないだろうな? 何度もかけてみるが、やはりつながらず。どうすりゃいいんだよ。 と、ハルヒが何かに気が付いたのは突然走り出した。あわてて俺もそれ続く。 ちょうど校舎の真ん中当たりでハルヒは立ち止まり、もう一つの校舎の前でホバリングを続けている攻撃ヘリを見つめた。 それはしばらくそのまま停止を続けていたが―― 「やめてっ!」 ハルヒの悲痛な叫びが俺の耳を貫く。その瞬間、ヘリの両サイドからミサイルのような物が発射されて、 もう一つの校舎の二階にある教室に撃ち込まれた。 強烈な爆音・爆風で俺たちのいた廊下の窓ガラスも一気に割れて飛び散り、俺たちの身体にバラバラと降り注ぐ。 襲撃者は俺たちがいない場所、つまり無関係な人間のいる場所に向かって攻撃を加えたのだ。 あまりに残酷で冷酷な敵のやり方に、俺は怒りよりも恐怖を感じる。 と、ここで俺の携帯に着信が入った。発信者は――古泉一樹となっている。 俺は即座に通話ボタンを入れ、向こうの言葉も聞かずに状況の説明を求めた。 「一体全体どうなってやがる! 襲ってきたのは何だ!? お前ら今まで何をやってきたんだよ! とっとと何とかしてくれ! このままじゃ、被害や犠牲者が増える一方だぞ!」 こっちの一方的な物言いに、古泉はしばらく黙って聞いているだけだったが、やがて、 『とにかく落ち着いてください。焦る気持ちもわかりますが、それでは有効な対策も取れません』 「落ち着けだって――うおっ!」 今度は俺たちのいる校舎三階に向けてミサイルが発射された。上階で発生した爆発の衝撃で、校舎全体が地震に 襲われたようにぐらぐらと激しく揺れる。 ええい、確かに焦っても攻撃が続くばかりか。 「どうすりゃいい!?」 『今、機関の方で対処を行っています。時期にあなたたちを襲っている者たちの排除に移る予定です。 あなたたちはしばらく見つからないように隠れていてください』 「そんなこと言っても、奴らは無差別攻撃を始めているんだぞ! 悠長なことを言っている場合じゃないんだ!」 『わかっています! しかし、それしか方法が――』 「キョン」 俺と古泉の会話に割り込む声。見れば、ハルヒがうつむいたまま肩を振わせていた。そして、俺が聞くべきかどうか 迷っていることについて古泉に確認するように指示を出す。 『何かありましたか? 問題があれば言ってください』 どうやら古泉にはハルヒの声は聞こえなかったらしい。何かあったのかと珍しく焦りの声をこちらにかけてきている。 俺は躊躇していた。 ハルヒが聞けと言うことは確かに確認しておかなければならないことだ。 だが……もし予想通りだったら。 その時、ハルヒはどう思うだろう。そして、それはどうすればいいのだろうか。 ………… また一発のミサイルがどこかに着弾したらしい。激しく校舎が揺さぶられた。ええい、迷っている場合ではない。 俺は意を決してその確認を行う。 「古泉。一つ確認したい」 『なんでしょうか?』 「襲ってきたのは機関の人間か?」 その指摘に古泉はしばらく黙ったままだったが、やがてこう言った。短く、か細い声で。 『……そうです。機関の強硬派によるものです』 古泉から言葉に、俺はがっくりと肩を落とした。機関――ハルヒが作り上げたに等しい組織がこんな無差別殺戮を行っている。 そして、それをそそのかしたのは俺だ。なら――この惨劇の責任は俺にあることになる。 ハルヒは耳では聞き取れないはずだから、何らかの超パワーで俺と古泉の通話を聞き取っていたのだろう。 機関強硬派によるものだとわかったと同時に走り出し、階段を駆け上がる。 「待てハルヒ! 待ってくれ!」 俺はすがるようにそれを追った。ハルヒがやろうとしていることはすぐにわかった。襲ってきた奴らを排除すること。 もちろん、それは自分が力を持っていることを情報統合思念体や機関に後悔することと同義であるから、 つまりはハルヒは機関――超能力者を作ることに見切りを付けたってことだ。 ――排除後に、ハルヒはこの世界をリセットする。 走りながら必死に俺は考えた。 何だ。 何を間違えたんだ。 確かに俺の世界とは多くの点で異なることがあった。 だが、それでも朝倉が暴走する可能性はあっても、機関強硬派がこんな行動に打って出る理由は何だ? ……それとも、俺の世界でもこういった事例はあってただ表面化していなかっただけなのか。 そんなわけねえ。 そんな分け合ってたまるか! だってそうだろ? 強硬派が望むように、ハルヒに強い衝撃を与えようとするならいつでもできたはずだ。 そのチャンスは多々にあった。 それが実行されなかったと言うことは、俺のいた世界と今ここの世界では大きく何かが異なっているはずだ。 何だ? それは……なんなんだ? 俺は結局ハルヒに追いつくことができず、そのまま校舎屋上に飛び出した。すでにハルヒは屋上の中心で空を見上げている。 さあ自分はここだと言っているように。 すぐに俺もハルヒの元に近づこうとするが、その前にハルヒの真正面にあの殺戮ヘリが現れる。 ローターから激しく発生する風に煽られ、俺の足は止められた。 だが、ハルヒはセーラー服と髪は激しくなびくものの、全くそれに動じていない。 やがてあの多数の生徒を殺戮した回転式の機関砲がハルヒに向けられる。ちょうどハルヒは俺に背を向ける格好になっているため どんな表情をしているのか見えない。 もうすぐハルヒは何かの力でこの攻撃ヘリと戦うのだろう。止めるしかないのだ。 どんなハリウッド的アクションが展開されるのかと思っていたが、予想に反して戦いは静かに進行した。 攻撃ヘリはハルヒに回転式機関砲を向けたまま微動だにせず、ただ浮かんでいるだけ。 ――いや違う。ハルヒは指一つ動かす気配がなかったが、攻撃ヘリの方が勝手に異音を発し始めていた。 それもエンジン音がおかしいとかではなく、金属が軋んでいくような脳髄をくすぐる嫌な音を鳴らしている。 やがて攻撃ヘリはブラックホールに吸い込まれていくように、次第に機体がつぶれ始めた。 めりめりと嫌な音とともに圧縮されていき、破片一つ飛ばすことなく、火花一つ飛ばすことなく小さくなっていく。 そのまま圧縮が続き、最後には野球のボール程度の球体までになってしまった。そこでハルヒはようやく腕を動かす。 すっと横に振った手を合図に、圧縮された攻撃ヘリは散り一つなく拡散するように消失した。 ………… さっきまで俺を覆っていたヘリの轟音が完全に消え失せ、辺りには校舎から聞こえてくる生徒たちの悲鳴・怒号が支配する。 遠くからは警察か消防かわからないが、けたたましいサイレンが鳴り響き、こちらに近づいてきていた。 終わった。何もかもが。 ハルヒはすっとうつむき加減のまま、俺のそばを通り校舎の中に戻っていく。 ちょうどその際にこう言い残して。 「……昨日言ったことは全部撤回するわ。あたしはこんなことをする連中を作りたくないし、一緒にいたくもないから。 この世界はここで終わりよ。情報統合思念体が動く前に、リセットの準備に入るわ」 ちくしょう――何でこんな事になったんだよ……! ◇◇◇◇ 「一体これはどういう事なのか説明しろ。お前のわかりにくいたとえ話は全て却下だ。簡潔にわかりやすくに言え。 でなきゃ、俺がどんな行動を取るか保証しねぇ。今は頭の血管がぶち切れる寸前なんだからな」 この惨劇後、校庭の隅で呆然としていた俺の前に現れた古泉に、俺は食って掛かっていた。 こんな状況でもいつものあのニヤケスマイルを浮かべて現れたら、即刻ぶん殴っていたが、さすがに事態は深刻らしく 表情は硬いままだったので握った拳はそのままにしておいてやる。お前の返答次第でどう動くがわからんがな。 校舎の状況は最悪だった。目で確認は俺自身が拒否しているため、喧噪の中で流れてきた話を拾った限りじゃ、 死傷者は百人単位に上っているらしく、特に俺の五組は生存している人間がほとんどいない惨状だそうだ。 朝倉は無事だったのを確認しているから全員死亡ではないだろうが、谷口や国木田もダメと見て良いだろう。 現在では警察や消防がひっきりなしに動き回り、状況把握に努めている。負傷者は多すぎるため重傷者のみ救急車で 運び出し、まだ何とかなる人間は校庭にテントを張って治療を行っている。 まさに地獄絵図だった。 あの後、ハルヒはどこかに姿を消してしまい、俺は何もできない無力感に浸りつつ校庭への避難誘導に従って 校庭に出てきていた。そこへ古泉の野郎が現れたって訳だ。 俺に胸ぐらをつかみ上げられたまま、古泉はしばらく黙っていたが、 「今回の件については申し訳ないとしかいいようがありません。強硬派の存在は機関内部では周知の事実でしたが、 このような行動を取るとは予想もしていませんでした」 「甘すぎるだろ! 危険な目的を持っているならもっと早い段階で手を打っておけばいいじゃないか!」 「状況は複雑にして微妙なんです。例えそう言った目的を持っていたとしても、うかつに動けません。 なぜなら、僕たち機関の他に情報統合思念体――TFEI端末の主流派も涼宮さんに対して観察という意味で 傍観を決め込んでいるからです。機関強硬派が例え目的を果たそうと行動を起こすと言うことは 情報統合思念体主流派と敵対の道を歩むということでもあります。そうなれば、強硬派はただでは済みません。 彼らの能力は僕らの存在などいともあっさり消せます。涼宮さんの観察の支障となると判断されればあっさりと抹消されて 終わりでしょう。そう言った考えで、強硬派もうかつに手を出すことはないと判断していました」 そうか。だから俺の世界では機関の危ない連中は手を出してこなかったってわけか。だが、ここではいともあっさり ハルヒにちょっかいを出してきた。何だ? 何が違っている? 俺はしばらく考え込んでいたが、途中で別の事に気が付く。 「待てよ。ならお前らの危険思想を持った連中が動いたって事は、情報統合思念体――朝倉たちと敵対する道を 選んだってことでいいんだよな? だが、何の保証もなく動くってのはおかしくねぇか? 何か動くきっかけがあるはずだ」 「それなんですが……」 ここで古泉は俺が冷静になりつつあると判断したのか、俺の手をふりほどき制服を整える。 そして続ける。 「まだ結論は出ていませんが、どうも情報統合思念体の一部と結託したようなんです。きっかけはわかりませんが、 何らかの情報を得て機関強硬派は動かざるを得なくなった。その理由についてはまだわかっていません。 現在、情報を精査中です」 古泉の淡々とした説明に、俺はどっと疲れを感じて地面に座り込む。校庭の方が騒がしくなったのを見ると、 どうやら保護者たちが次々と駆けつけ始めたようだ。怒号・叫び・悲鳴……この世の負の感情が怨念のように校庭を支配する。 俺の家族にはさっき無事を知らせる電話を入れているのでこれ以上の心配をかけてはいないが。 古泉は俺に視線を合わせるようにしゃがみ、 「僕が言うのもなんですが、起こってしまったことについてとやかく議論をしている余裕がない事態です。 今回の一件で機関も対応しなければならないことが発生していますので」 「ああ、とっとと危険人物どもを牢屋にでも放り込んでおいてくれ」 「それはとっくに完了済みですよ。それ以外のことです」 「……なんだと?」 嫌な予感がする。事後対処が終わっていて、次にやることと言えば……やはりハルヒのことか? 古泉は続ける。 「今回の襲撃では、TFEI端末、機関ともにその対応が行えませんでした――おっと、TFEI端末はもともと介入する気は なかったようですが。それはさておき、そんな状況でありながら誰かが機関強硬派の襲撃を撃退しています。 あなたは何か知りませんか?」 「…………」 俺は答えるべきかどうか迷ってしまう。ハルヒはもうリセットをかけるべく準備を開始すると言っていた。 なら今ここでばらしてもどっちみちかわらないだろう。だが、何の違いで今回の惨劇が発生したのかわからない状態で うかつな行動を取って取り返しの付かないことになったら…… 結局俺は首を振って、 「逃げるので精一杯だったから、よくわからん。気が付いたらいなくなっていた」 「そう……ですか」 古泉の表情はなぜか残念そうに見えた。まるでどうして本当のことを言ってくれないのかと言いたげなように。 言った方が良かったのか? それとも何かたくらんでいるのか。 俺はたまらず聞き返す。 「なんなんだ、一体。言いたいことのがあるならはっきりと言ってくれ」 「……涼宮さんのことですよ」 やっぱりそうか。 「あの状況下で、事故以外に強硬派を撃退する能力を有しているのは涼宮さん以外にいません。 そうなると、彼女が突然追いつめられた状況にショックを受け自分の力を自覚してしまったか、あるいは――」 ――古泉は憂鬱そうに目を細め、 「元から涼宮さんは自分の力を認識していたということですね」 ちっ、やっぱりそう言う結論になるわな。そうなると、すでに情報統合思念体も同じ認識を持っていて――うん? だったらとっくに地球ごと抹殺されていてもおかしくないか? あるいはハルヒがリセットするか。 俺は念のために追求しておくことにする。 「万一だ、ハルヒが力を認識するなり、元からそうだったりした場合、何の不都合が発生するんだ? おっと昨日朝倉と一緒に聞かされた話は一応理解しているつもりだ。それをふまえた上でお前らがどう動くかってことを 確認しておきたいんだが」 「その点についてですが、はっきり言って機関の方ではこのままでも一向に構いません。実際に涼宮さんが力を認識しても、 不都合のない今まで通りの世界が続いてくれればいいんですから」 「なら別に問題ないだろ」 「ですが、情報統合思念体――TFEI端末から得られた情報によれば、彼らはそれでは困るようですね。 何らかの動きを見せるようですが、僕のような末端の人間まではその内容について聞かされていません」 動きってのは、ハルヒごとこの星を吹っ飛ばすことだろうな。だが、なぜ実行に移していないのだろうか。 古泉は続ける。 「同僚からの情報によれば、どうやらその情報統合思念体の動きは機関にとって大変都合の悪いことのようでして。 僕にもその件について非常招集がかかっています」 そりゃ地球ごと抹殺しますよと言われればとんでもない騒ぎになるのは確実だからな。 古泉はすっと立ち上がると、 「では、僕は機関の方に行かなければならないので」 そう言って俺の元を立ち去ろうとする。 「ちょっと待て!」 と、俺は思わず古泉を呼び止めてしまう。どうしても言っておきたいことがある。 古泉はなんでしょうかと振り返った。 「なあ古泉。頼みがある」 「言ってください」 俺は立ち上がり、古泉の目をじっと見て、 「……ハルヒを見捨てないでくれ。頼む」 俺の言葉に、古泉はさわやかなスマイルを浮かべるだけだった。 ◇◇◇◇ 「ちょっといいかな?」 古泉と入れ替えにやってきたのは朝倉だった。俺は思わず身構えてしまった。この状況で襲われればひとたまりもないからな。 だが、朝倉はいつもの柔らかな笑みのまま、 「そんなに警戒しなくても良いよ。あなたに何かしようとは思っていないから」 「だが、ハルヒが力を自覚した、あるいは元々自覚していたかも知れないということが不都合なんだろ?」 「それはそうなんだけどね……」 ちょっと困ったようなような表情になる朝倉。 だが、次にその口から飛び出たのは予想外――いや、俺の脳みその血管をぶち切るのに十分な言葉だった。 「元々涼宮さんが認識している可能性は、情報統合思念体内部でも検討されていた事よ。でも、大勢を占める主流派は そんなことを一々確認する必要はないとして放置という選択を取っていたのよね。これに関しては他の勢力も大差ないわ。 でね、かといってそのままだと何も起こらずなぁんにも観測できないのよ。そんなのつまらないと思わない? あたしたちの目的は涼宮さんの情報創造能力を観測すること。ただ見ているだけじゃ何も変わらない。 だからね、上の人たちなんて無視して動くことにしたのよ」 あの時――ナイフで朝倉に斬りつけられたときの記憶が俺の脳裏に蘇る。あの時もそんなことを言っていた……まずい。 今すぐ走って逃げ出すべきか? 朝倉はこっちの動揺もお構いなしに続ける。 「でも残念なことに情報統合思念体の主流派はそれを許さない。そこであたし考えたのよ。昨日、機関っていう組織も 一枚岩ではないってことを言っていたじゃない。だから、その人たちに代わりに涼宮さんを襲ってもらうことにしたの」 唐突すぎる告白。俺の視界が真っ赤に染まるんじゃないかと思うほどに、頭に血が上る。 「お前が……お前がこの事態を引き起こしたってのか?」 「そうよ。でも彼らも独自の目的を持っていたのよね。あたしはあなたを殺すようにけしかけたつもりだったんだけど、 直接涼宮さんを襲うとは思っていなかったわ。そんなことをしたら涼宮さんが力を自覚しちゃうじゃない。 そうなったら観測できなくなっちゃう。まさに本末転倒よね。全く勝手なことをしてくれたおかげで大迷惑よ」 朝倉はいつもの笑みを崩さない。 この野郎。昨日偶然聞きつけた機関強硬派を利用することにしたってのか。主流派の目をごまかすために。 またそれなら長門も行動できないと考えたのだろう。 この惨劇の元凶は、昨日のたった一度の会話が原因。まさか、あれだけでここまで事態が変化するなんて思ってもいなかった。 結局は朝倉の暴走なんだが、それによって思わぬ副産物を朝倉――情報統合思念体は得てしまったことが最大の問題だ。 「今回の一件で涼宮さんは確実に自分の能力について自覚したわ。敵を倒したのは他ならぬ彼女だもの。 この時点で情報統合思念体の観測作業は終了して、強制措置に入る。これは情報統合思念体全てにおける共通意識」 「その強制措置ってのを教えてもらおうか」 知ってはいるが、念のために確認してみる。朝倉は表情一つ変えず、 「この惑星全ての知的有機生命体の排除。涼宮さんを含めてね」 やっぱりそうか。だが、なぜ俺にこんな話をしてくるんだ? とっとと実行すりゃいいだろ。 そこでさっき古泉が言っていたことを思い出す。情報統合思念体の動きは機関にとって不都合なことであると。 「あ、気が付いたかな? そう、機関がどうも情報統合思念体主流派と接触して交渉しているみたいなのよ。 彼らにとって抹殺措置は避けたいみたいだから。わたしには有機生命体の死の概念がよくわからないから、 何でそんなに必死になっているのか理解できないけどね」 「お前らと違って、俺たちは死んだら終わりなんだよ。情報なんたらで無敵の存在であるお前らとは違ってな」 俺は悪態を付く一方で希望が胸に渦巻き始める。機関の主流派はまだ諦めていない。何とかハルヒを守ろうとしているんだ。 きっとそうに違いない。ハルヒを守ることが自分たちの命を守ることにつながるって事だからな。 ふと、ここまで来て思う。朝倉は何でこんな話を俺にしているんだ? この問いかけに、朝倉はぐっと俺に顔を近づけてきて、 「実はちょっとあなたに興味があったのよ。いろいろ調べてみたんだけど、あなたはただの有機生命体に過ぎない。 でも、涼宮さんという特別な存在に見初められている。それはなぜ? どうせこれが最期になるだろうから 確認しておきたかったの」 「知らねえよ。俺は俺だとしか言いようがない」 実は異世界人だとは言わなかった。情報統合思念体が地球ごと破滅させるかどうかは、まだわからなくなってきたからな。 切り札になるかもわからないが、余計な不確定要素を作るべきではない。 と、朝倉は俺から離れ、 「そっか。残念。実はあなたが涼宮さんに何かの力を与える存在かも知れないとちょっと期待したんだけどな」 「あいにく俺はミジンコ並みに普通なんでね。残念だったな」 ここで朝倉は何かの情報をキャッチしたような顔を浮かべ、 「あ、どうやら交渉がまとまったみたい。わたしに任務終了の通達が来たわ」 そう言うのと同時に、朝倉の身体が以前長門がやった情報連結解除と同じようにさらさらと消滅していく。 俺はせめてこれからどうなるのか確認しておきたかったので、 「おい! これからどうなるのか、冥土のみやげかどうかは知らんが教えてくれても良いだろ!?」 「もうすぐわかるわよ。もうすぐね♪」 朝倉はいつもの笑みのまま消えていってしまった。 ちっ、これ以上の情報を得るのは無理だったか。しかし、機関が情報統合思念体にストップをかけているという事実は かなり大きな収穫だ。 俺はすぐに携帯電話を取り出し、ハルヒへつなぐ。 ……ハルヒ。まだ機関に絶望するのは早いぞ。古泉たちは思った以上にやってくれるかも知れないんだ。 ◇◇◇◇ ハルヒは旧館の一つの部室から呆然と外の様子を眺めていた。 外はマスコミも駆けつけてきたのか、報道のヘリを含めてますます喧噪に包まれている。 俺は携帯でここにいることを知らされ、ここにやって来た。もちろん、ハルヒにリセット中止――最悪でも様子見に してくれというために。 「で、そんなにあわててどうしたってのよ」 「中止しろ!」 「は?」 息が切れているせいで端的な発言しかできん。とにかく何でも良いから止めさせないと。 俺はぐっとハルヒの肩をつかみ、顔を寄せて、 「リセットだ! もうちょっと待ってくれ!」 「……理由は?」 半目でうさんくさそうなハルヒの表情だったが、俺は構わず続ける。 「朝倉と接触した。どうやら、情報統合思念体と機関が何かの交渉を行っているみたいなんだよ! 旨くすれば、お前が力を自覚していることがばれてもどうにかなるかもしれないぞ!」 「だから、この惨状を受け入れろって言うわけ?」 ハルヒがばっと窓から校舎の惨状を示すように指を向けた。そこには未だ回収されない動かない生徒の姿や 血まみれの廊下・教室、粉砕された校舎の一部……爆撃を受けた後の状態の学校が広がっている。 俺は手を振りながら、 「それはわかっている。こんな状態で放っておけるわけがないからな。だが、せめて機関が情報統合思念体にどういう影響を 与えるのか、その確認をした後でも十分だろ? もう少し待ってくれ、頼む!」 必死の説得。このままこの状態を続けるのは俺もはっきり言って嫌だし、リセットはむしろ望むところだ。 しかし――しかしだ。このまま終わりにしても何の成果もないのは事実。だったら、せめて機関がどう動くのかだけは 見極めておきたい。機関の主流はハルヒの平穏無事な一生にある。ならば、きっと力の自覚後も同様の状態を 維持しようとするはずなんだ。そうに決まっている。 それであれば、確認後にリセットをして今度はこの惨劇が起きないようにすれば良いだけ。答えは目の前にあると言っていい。 だが、ハルヒはなぜか納得しようとしなかった。じっと疑惑の目を俺に向け続けている。そして言う。 「まあ、あんたに言われなくてもリセットはしばらくするつもりはなかったわよ。あたしのことを知ったはずの情報統合思念体が 動きを見せないから。何でかと思えば、機関って連中が何かたくらんでいるって訳ね」 「古泉も呼び出しを受けていたし、もうすぐ何かの動きがあると思うぞ。それから――」 「……あのさ、キョン」 ハルヒはいつになく真剣――いや、まるで子供に説教するかのような目つきで俺を見つめた。 俺はその視線に自分の口が完全に塞がれた気分になる。 そして、ハルヒは言った。 「あんた、一体誰を見てそう思っているの?」 「誰って……そりゃ機関、いや古泉だな。あいつらの目的は昨日話したとおり俺の世界と同じだったから違いはないはずだ」 「でも違うわ。ここはあんたの世界とは違う」 ――ハルヒはすっと目を瞑り、俺を諭すように、 「あんたは今を見ていない。キョンが見ているのは、自分の脳内にいる古泉くんよ。その姿を見てきっとこう考えている、 こうしてくれる、そう思っている――いや、思いこんでいるだけじゃないの?」 「それは……」 ……反論できなかった。 俺は本当に古泉一樹という人間を把握しているのか? 元の世界では少なくともあいつの言動から見ても、 機関よりもSOS団を優先させるはずだ。 だが、この世界の古泉はどうだ? まだあってから数週間しか経っていないんだ―― ―――― ―――― 一瞬だっただろう。俺は何かが起こったことだけ理解できたが、それがなんなのかはさっぱりわからないまま、 床に突っ伏していた。辺りにはガラスが大量に飛び散り、部屋の中の備品はめちゃくちゃに散らかっている。 何だ? 何が起こった? すぐに俺の身体が誰かによって引き寄せられた。目の前にはハルヒのドアップが浮かぶ。 必死に何かを叫んでいるようだったが、俺の耳には何も届かなかった。それどころか、激しい頭痛とめまいが 視界を揺さぶり続け、意識を保つだけで精一杯の状況である。 ハルヒはすっと俺の額に指をつけ、眉間にしわを寄せた。何かのおまじない――いや情報操作か。 俺に対してそれを行おうとしているのか? ほどなくして、俺のめまい・頭痛が停止し聴覚も復活した。同時に、多数の花火のような爆発音が辺りに広がっていることに 気が付く。激しい断続的に続く地鳴りと揺れを感じることに、聴覚どころか感覚すら狂っていたことに気が付かされた。 俺の身体異常を一瞬にして直したのか。とんでもない奴だよ、ハルヒは。とりあえずありがとうと礼を言っておく…… 「そんなものいらない! それどころじゃない!」 ハルヒのつばが俺の顔にかかった。同時に背後の校舎の屋上が吹っ飛び、破片と爆風が俺のいる部屋に流れ込んできた。 ハルヒは俺をかばうように抱きかかえてそれから守ってくれる。 ここでようやく事態に気が付いた。また北高は何かからの攻撃を受けている。いや、爆発音の大小から考えて、 北高だけじゃない。もっと遠くも同様の爆発が起きているに違いない。 なんだってんだ! 「屋上に上がるわよ!」 そう言ってハルヒは俺の手を引いて走り出した。 旧館から校舎へ渡る途中、校舎二つのうち一つはさっきの爆発で完膚無きまで破壊されていたのが見える。 ハルヒはもう一つの校舎の屋上に向かっているのだろう。 途中通りかかった校庭では、大パニックが起きていた。逃げまどう生徒・保護者・マスコミ関係者を 警察や消防の人間が必死に逃げるように誘導していた。 だが、すでに校庭でも爆発が起きたらしく、ところどころクレーターができあがっていた。その周辺には 傷ついた人たちの姿もある。北高はこの地域では高台に位置するため、広がる街並みをある程度一望できたが、 やはりさっき感じていたとおり次々と爆発が発生して煙が立ち上っている。まるで戦争状態だった。 ハルヒはそんなことお構いなしに、校舎の階段を駆け上がった。俺はその引かれる手のままに走りながら 混乱を越えて錯乱の域に達していた。 古泉は機関の強硬派はすでに押さえ込んだかのようなことを言っていた。だったら今度の攻撃はないんだ? まだ機関強硬派の残党がいたのか? いや、いくらなんでも機関がそこまで無能だとは思わないし、 さっきの襲撃とは桁違いの規模の攻撃であることから、残党の仕業とは思えない。こんな事ができるなら 最初の攻撃時にやっているだろうからな。 屋上の扉を開け、ハルヒはそこの中心に飛び出した。体育系部活の運動もびっくりな無酸素無呼吸階段いっき登りに いい加減息の切れた俺は膝をついて肺をフル稼働させて酸素補給に努める。 一方のハルヒは少し肩で呼吸はしているが、休む気配は見せない。それどころか、すっと両手を広げて、 「全部食い止める!」 ハルヒの叫び。同時に俺から見える360度全方位の青空で無数の爆発が起きた。 もう展開について行けない。誰でも良いから今すぐ俺に状況を教えてくれ。 すぐハルヒは再度空に向かってにらみをきかせる。すると、また同じようにそこら中の空で爆発が起きる。 どうやら、ハルヒが攻撃を阻止しているらしい。ってことは、さっきからの大爆発は空から何かが飛んできているのか? 「砲撃よ! バカみたいに大量の砲弾が雨あられと降ってきているわ! 狙い先は北高だけじゃない、もうめちゃくちゃに 周辺の町全体に撃ち込まれているの!」 ハルヒの怒鳴り声と同時に、また空中爆発が大量発生した。なんてこった。本当に戦争じゃねぇか。 そんな国際法無視上等なことをやらかしているバカ野郎はどこのどいつなんだよ。 しばらくハルヒVS無差別砲撃戦が続く。俺はただオロオロするばかりで何もできない。 だが、この事態に対処できている人間なんてハルヒ以外にはいないだろう、校庭や学校周辺の人たちもパニックになって もう誰の誘導も指示も無視して四方八方に逃げている。逃げ場がどこなのかわからないのに、走らずにいられないみたいだ。 また空一面に爆発による火球が無数にできる。いかんいかん! どうすりゃいいんだ? そうだ、とにかくこの攻撃の意図はわからないが、これ以上人を巻き込むわけにはいかん。安全地帯を探して、 そこに誘導しないと。 「ハルヒ! 取り込み中だと思うが、安全な場所を探すことはできないのか!? 俺がここにいても仕方ないから、 教えてくれれば下の人たちをそっちに誘導するぞ!」 「今やっているわよ! ぎりぎりだから話しかけないで!」 また空に無数の爆発の花が開く。くそったれ、いい加減にしやがれ! どれだけの人の命を奪う気だ!? と、ここでハルヒは一瞬落胆するように、顔を下に向けた。だが、また砲弾が空に現れたのか、キッと顔をゆがめて それらを破壊する。 そして、絶望の色に染まった声で言った。 「安全地帯は……ないわ!」 「……なんだと!?」 どういうことだよ。 「北高を中心にして不可視遮断フィールドが展開されているのよ! 簡単に入ってこれるけど絶対に出れない空間、 あと外側から見ても別になにも変わっていないように見える状態になっている! 攻撃はその範囲内にくまなく加えられているわ! どこに逃げても無駄よ!」 そんな。じゃあただ黙って死ぬのを待つしかできないってのかよ。 いや待て。そんな芸当はいくら機関の超能力者でもできないはずだぞ。ならやっているのは情報統合思念体か? しかし、それにしては随分地球人類的手段を取っているように感じるが。 待て待て。そんなことを詮索している場合ではないんだ。今は何とか攻撃を避ける方法を見つけなければならない。 「だったら、攻撃の元を削げば良いんじゃないか!? 砲撃を受けているって言うなら、どこかに発射している奴らが いるって事だろ!? ならそっちを叩けばいい!」 「ええ、確かにいるわね。でも、それがどこだか教えてあげようか?」 俺の方に疲れ切った自虐的な笑みを浮かべるハルヒ。相当の疲労があるのか、顔中汗だくになり、 頬には髪の毛がまとわりついている。 「ここから数千キロ離れた砂漠地帯よ。恐らく演習場か何かでしょうね。きっと砲撃している連中もここに撃ち込んでいるとは 思っていないはずよ。SF映画のワープみたいに、砲弾だけが北高上空に転送されてきているんだから」 俺が愕然となった。数千キロ? 攻撃している連中はこの惨状を全く理解していない? 何を言っているんだ? もう訳がわからんぞ。それなら、ひたすら攻撃を防いでいることしかできねぇじゃねえか。 どうしようもなくなった俺だったが、それでも黙って指をくわえていることはできず、当てもなく周囲を見回した。 ハルヒのおかげで砲撃の着弾はなくなったが、パニックは収まらず逃げまどう群衆が見える。 ふと――完全に偶然だったが、もう一つの破壊された校舎の残骸を見ているときに、俺は人影を見た。 遠くだったのと日陰だったためただのシェルエットにしか見えなかったが、長細い筒のようなものをこちらに向けている。 とっさだった。それがなんなのかきっと普段映画の見過ぎだったのに加えて、辺り一面戦争映画モードだったのが 俺の判断を導いてくれたのだろう。ハルヒに体当たりしていた。 「――ちょっと何するのよキョ――!」 ハルヒの声の抗議は途中中断を余儀なくされた。なぜなら、体当たりのショックでハルヒの立っていた位置に 入れ替わった俺の右の二の腕辺りがちぎれ飛んだからだ。 自分の腕がなくなった瞬間、俺は痛みは全く感じなかった。全神経が麻痺し、腕に当たった猛烈な衝撃だけが身体を震わせる、 飛んでいく右腕はやたらとゆっくりと俺の後方に飛んでいった。野球の試合のウルトラスーパースロー映像みたいになめらかに。 「キョン!」 次の瞬間ハルヒが俺を抱きかかえた。同時に俺の右腕が元に戻っていることに気が付く。当然痛みも何もない。 またハルヒが治癒してくれたのか? 全く医者にでもなれば全世界の人間が救えるぞ。人口爆発は必死だけどな。 ってそんなのんきなことを考えている場合じゃねえ。 俺を助けるために、砲撃阻止を一旦中止したためか、北高一帯に無数の砲弾が降り注ぎ大地震のように校舎が揺さぶられた。 だが、憎らしいことに今やるべき事はそっちの阻止ではない。 「ハルヒ! 早く――!」 「わかってる!」 ハルヒは俺を抱えると、校舎の上を飛びはね回った。言っておくがただの喜劇でも運動でもないぞ。 俺の感覚が正しいなら、ハルヒが飛び跳ねた後1秒以内にそこに何か鋭利で高速なものが飛んで行っている。 つまり俺たちは今何者から銃撃を受けているって訳だ。 俺の体重なんて無視するかのようにハルヒは華麗にその銃撃を避け続けた。ただし、避けられているのは ハルヒの身体・洞察能力が素晴らしいだけであって、相手も的確に俺たちに銃弾を飛ばしてきている。 こいつじゃなければ全段命中は確実だろうな。 やがてハルヒは校舎と屋上の出入り口の前に移動した。続けて三発の銃弾が出入り口の壁に突き刺さりコンクリート片を 飛び散らせるが、ハルヒは動かない。どうやらここだと相手の位置から死角にはいるようだ。続いた三発の銃弾は ここから焦りを誘い移動させるための威嚇射撃だろう。相手は完璧なプロだな。それを見破るハルヒも大した奴だが。 ハルヒはさすがに体力の疲弊が激しいのか、しばらく胸を上下させて酸素補給に努めている。 その間にもまた砲撃がそこら中に加えられまくっているが、これではどうしようもない。 「とにかく、狙撃している奴の始末が先決ね……」 一旦大きく深呼吸をして、酸素補給を強制終了させたハルヒは死角からでないように辺りの様子を探る。 相手は何者なんだ? この状況でハルヒを狙って攻撃してくる以上、砲撃を行っている奴と同じ連中だろうが。 ふとハルヒはぱんと手を叩く。同時に周囲に空中モニターっぽいものが映し出された。それらには黒ずくめ――特殊部隊とか ああいう格好をした連中が10人くらい映し出されている。全員、手に銃を持ち何かの指示を出し合っていた。 手際よく無駄のないその動きは、やはりプロそのものだ。 「あっ……!」 その中の一人の顔を見て、俺は思わず声を上げてしまった。年齢の読みづらい美人女性。格好は軍隊でもあの顔だけは 変わるわけがない。森さんだった。 ハルヒはそんな俺を見逃さない。すぐに問いつめてきた。 「どうやら知っている人がいるみたいね。今はあんたの主張なんて聞いている暇はないからとっとと教えて」 「ああ、古泉の同僚って言っていた人だよ……俺の世界での話だがな。ちくしょう!」 俺は屋上の床を拳で殴りつける。 森さんは古泉と同僚、そして古泉は機関の主流派に属しているはずだ。ってことは森さんも主流派であると考えていいわけで、 彼女が襲撃に荷担していると言うことは、今無差別大規模攻撃+狙撃を行っているのは機関主流派ってことになる。 どういうわけだ。あれだけハルヒの平穏を望んでいたのに、何でこんな事をしている……! 「全部片づけてくるわ。あんなのがうろちょろしているとこっちもやりづらいから」 「…………」 俺はハルヒがその超人的な力で屋上から襲撃者に向かって飛びかかっていくのを止めるどころか、言葉一つ吐けなかった。 主流派の攻撃。機関はハルヒの排除を決断した。この事実は確定した。 ……なぜだ? なんでだ? ほどなくして、銃撃戦が階下で始まる。激しい銃声と小さな爆発音があちこちで起こり、ハルヒと機関の激しい戦いが 容易に想像できた。 砲撃は相変わらず激しく続き、街の大半が廃墟に変わろうとしている。 俺はもうするべき事も、したいことも思いつかず呆然としているだけだった。 十分程度立ったぐらいだろうか。軽い足取りで誰かが階段を駆け上がってくる音が聞こえる。ハルヒか? だが、屋上の入り口に現れたのは、黒ずくめの襲撃者一人だった。すぐに俺の姿を見つけると、手にした短銃を俺に向け 立つように声をかけてきた。 その声にも聞き覚えがある。 「新川……さんですか?」 少し老いているが力強く威圧感のある声。あの執事を演じていた新川さんのものだ。 だが、初めてあったはずの俺の問いかけに動揺一つ見せることなく、さらに立て!と叫ぶ。俺はどうすることもできず、 両手を上げて立ち上がり…… 次の瞬間、新川さんは糸の切れた人形のように床に崩れ落ちた。その背後からハルヒの姿が現れる。 その手には一人の北高制服の人間が抱えられていた。 ハルヒは新川さんをまるで粗大ゴミでも投げ捨てるように、蹴り飛ばし離れたところに追いやった。 さらに脇に抱えていた人間を俺の方にぞんざいに投げつけてくる。 「邪魔者は全部排除してきたわよ。ついでにこいつもいたから拾ってきた。言いたいことがあるなら今の内に言っておきなさい。 ついでに使えそうな情報を持っていれば聞き出しておいて。あたしはまた砲撃阻止に入るから」 「……やあどうも」 それは古泉だった。俺は自分の意思よりも先に感情でそいつの頬を思いっきりぶん殴る。 その勢いそのままに胸ぐらをつかみ上げ、 「おい! これは一体どういう事だ! 今すぐわかりやすく説明しろ! でなきゃ屋上から突き落としてやる!」 「…………」 俺の脅迫に古泉は黙ったままなぜか腕に付けている時計をちらりと見た。俺はその態度に苛立ちを募らせ、 さらに数回同じ言葉とともに、古泉の身体を揺さぶる。今更何を隠し事しようってんだ。 やがて古泉は観念したようなため息を吐いて、 「……機関は決断しました。涼宮さんの排除をね」 「なんでだ? お前らはハルヒが何の変哲もなく一生を過ごすことを望んでいたんじゃないのかよ!」 「そうです。その通りです。しかし、それは手段であって目的ではありません。目的を達成するための条件が変化した場合、 手段は変化します。当然のことだと思いますが」 「目的? ならお前らにとってハルヒは手段に過ぎない――」 俺は自分で言っていて気が付いた。そうだ。その通りだ。機関にとってはハルヒは手段でしかない。 俺の世界でもここの世界でも、機関の目的は世界の安定 ハルヒが明るい笑顔で過ごせる毎日を作ることはそのために必要だった――これは目的を実現するための手段だ。 だが、目的は変わらなかったが、ハルヒの力の自覚という状況が変化した。これにより、情報統合思念体はハルヒの排除に動く。 おっとハルヒだけではなく、この地球そのものを滅ぼすって事が重要だ。つまりハルヒの存在は、世界の安定には貢献しない。 むしろ害をなすものへと変わってしまった。なら手段は変わる。 「情報統合思念体――TFEI端末はこう言いました。涼宮さんが力を自覚した。だからこの星ごと抹消すると。 ですが、そんなことをされるのは勘弁願いたい。機関の主流派――いえ、機関全ての人間の意識は固まりました。 涼宮さんを排除して、情報統合思念体にはそれでこの星の破壊だけはやめてもらう。機関は情報統合思念体の役割の肩代わりを 申し出たんですよ」 その方法ってのがこの無差別砲撃とハルヒの暗殺か。 「ええ、その通りです。この星の抹消だけはどんな手段を使っても阻止しなければなりません。だから、機関が代わりに 涼宮さんとその影響下にある人間を抹殺するんです。幸い情報統合思念体はそれでも構わないと言ってくれたようですね。 ならば迷う必要なんてありません」 「影響のある人間……だと?」 「そうです。涼宮さんは無自覚かどうかは知りませんが、周辺の人に何らかの影響を与え続けています。 身近な例を挙げるなら、ほらちょうどここにいいサンプルがいるじゃありませんか」 古泉は両手を上げて自分をアピールした。ああ、なるほどな。ハルヒの影響を受けた人間――つまり超能力者もそれに 含まれるって訳だ。もちろん、俺の世界でいたあの中河のように、何だかしらんうちに影響を受けていた例もあるだろう。 情報統合思念体はハルヒだけに飽きたらず、そう言った人たちまで消さなきゃ気がすまんのか。 ……まさかそのために地球ごと抹殺しようとしているのか? 古泉はやれやれと手を振って、 「その通りです。もともと彼らにとって僕たち地球人類なんて大した価値を持っていないのでしょう。 逆に危険性が認められれば、一律削除が容易に可能と言うことです。そこまでする必要があるかどうかなんて考えずに、 全ての危険性を排除するために全人類の抹消を行うんです」 呆れてものも言えん。情報統合思念体ってのはそこまで冷酷非道なバカ野郎どもだったのか。 で、地球全滅だけは避けたいから、せめてハルヒ+その周辺の一般市民丸ごと虐殺で手を打ちませんか?って機関が 提案したんだな? ……もう一発ぶん殴って良いか? 「それは勘弁していただきたいですね。それにあなたは機関の決断に反発しているようですが、他に選択肢があったとでも いうつもりでしょうか? 機関は最悪の事態をさけるために、必死の思いでこの苦行を行っているんですよ?」 「こんな行為を受けいれられるほど、俺は落ちぶれちゃいないんでね……!」 古泉と俺のやり取りの間も、ハルヒは必死に砲撃を全て食い止めていた。だが、北高周辺から出れないのであれば、 こんな水際阻止を続けていても何の意味もない。ハルヒの体力もどこまで持つかわからないしな。 だが。 古泉――機関の決断とやらに、俺は反論できる材料は持っていない。あるのは世界のリセットだけだが、 それをばらすわけにも行かないのだ。そもそもそれは機関の世界の安定という目的とは明らかに乖離しているわけだし。 なら……どうすればいい? ………… ………… くそっ…… くそ、ちくしょうっ! 俺の無力さと頭の悪さを今ほど嘆いた時はない。 何も思いつかない。 逆に俺がハルヒとは何にも関わっていなかった場合、迷った上で人類全滅よりかは限定的大虐殺の方がマシだと 判断しちまいそうだ。 古泉は胸ぐらをつかんだままだった俺の腕を引き離すと、その場に力なく座り込む。 「いい加減、諦めたらどうですか? ここで仮に機関の攻撃をなんとかできたとしても、次に待っているのは 情報統合思念体による人類抹殺ですよ? どうやっても無駄なんです……何をやっても防ぎようがありません……」 完全に諦めモードか。ん、ちょっと待った。 「おい古泉。さっきハルヒの影響を受けた人間は全て抹殺って言っていたよな? それってお前も含まれるんじゃないか? それでいいのかよっ!?」 俺の指摘に古泉はすっと顔を下に向けて、 「機関からはあとで回収するって言われていたんですけどねぇ……。予定時刻はとっくに過ぎているんですが、 全くその気配はありません。これは担がれたと見るべきでしょう。僕もその抹殺対象リストにきっちり含まれていたと」 「お前……」 こいつも結局巻き込まれただけって事かよ。どっちかというと被害者か。そして―― 「あんたのやったことはいたずらに他人を巻き込んだだけだったってことよ」 ハルヒから図星を付かれる。 俺は全力で否定したくなったが、何も口が動かなかった。内心ではそうだと受け入れているからだろう。 疲れ切った足の重みに耐えきれず、俺も古泉の横に座り、 「すまねぇ……お前を巻き込じまって」 そんな俺の謝罪に古泉はその意味を理解できないようで、 「なぜあなたが謝るのでしょうか? どちらかというと僕の方があなたを巻き込んだようなものですよ?」 「違うんだ……それは違うんだよ、古泉……」 酷い脱力感。もう何もやる気がしない……なにも…… 「キョンっ!」 それを打ち破ったのはハルヒの一喝だった。見上げれば、ハルヒは仁王立ちで必死に砲撃の阻止に努めている。 そうだ。俺は何を諦めているんだ? まだ俺にはやれることがある。いや、こうなった以上、やることは一つしかない。 ハルヒによるこの時間平面のリセット。 「そうよっ! でもそれにはちょっと時間と準備がかかるわ! とてもじゃないけどこの状況じゃできそうにない。 だから一旦落ち着かせる必要があるの! だから協力して!」 「だが、何をすりゃいいんだ!?」 俺の問いかけにハルヒは、古泉の方を指差し、 「確認するけど、この攻撃は情報統合思念体と機関が協力して行っている、でいいのよね!?」 「え、ええ……そうですが……それが……?」 古泉はきょとんとした表情で答える。何をしようとしているのかわからないのだろう。当然だが。 「でもまだ何か隠している。そうよね!」 この指摘に古泉の表情が一変した。何だと? この状況下で一体古泉は何を隠しているってんだ。 ハルヒは続ける。 「こんな攻撃を続けていても、効率が悪い上に住民全部を抹殺なんて不可能だわ! だったら、これには別の意図があるってことよ! あたしの勘では、ただの陽動! 本当の攻撃手段は別にあるはずだわ! それにわざわざ外部と遮断して、さらに外側からはこの惨状が見えないようにしている! これには絶対に意図があるはず!」 「……どういうことだ、古泉!」 俺は再び古泉の胸ぐらをつかみ上げる。 もう俺の腹は決まった。ハルヒの時間平面のリセットを実行する。そのためには、これ以上の邪魔を入れるわけにはいかない。 古泉の顔は答えるべきか迷っているように見える。とにかく吐かせるしかない。 俺は何度も答えを求めて古泉に問いつめるが、一向に口を割ろうとしない。そんな中、ふと気が付く。 古泉がまだ時計を気にしていることに。迎えの予定時間は過ぎたって言うのに、今更何を…… 「そうか。この先に何かが起きるんだな? それも一瞬にしてお前らの手段を実現できる方法ってやつが!」 「……くっ」 これを指摘して、古泉はようやく勘弁したらしい。苦渋のうめきを漏らしつつ、 「考えてみてください。突然、街一つが消滅するような事態が起きれば、世界の人たちはその原因を知りたいと思いますよね?」 「ああ、そうだな」 「だから、納得できる理由が必要なんですよ。なぜこの惨劇が起きたのか、少なくても表面的な理由が」 俺は回りくどい古泉の説明に苛立ち、一発頬をぶん殴ると、 「それは何だと聞いているんだ! とっとと答えやがれ!」 「核ですよ」 古泉の回答は俺の脳内に激しくこだました。 核。核って核兵器のことだろ? あの大量破壊兵器。あれを使って町ごと吹っ飛ばす気か!? だが、ハルヒは意外と落ち着いた様子で、 「そんなことだろうと思ったわ。この砲撃はあたしを誘い出すための補強策って訳ね。この攻撃の阻止に夢中になっている間に どかんとやってしまおうと。危うく引っかかるところだったわ」 「その……通りです。冷戦崩壊に伴って行方不明になっていた核弾頭を機関の方で保管していたんですよ。 こういった事態がいつ起こっても良いように。事前砲撃は周辺から見えるわけにはいきませんからね。 そのためにTFEI端末の力を借りています。そして、核でこの周囲を一掃後、全世界には核によるテロが発生したと 発表して――それで終わりです。ああ、起爆予定時刻はあと五分後、いまさら解除は不可能ですよ? 僕はどこに仕掛けられているのかも知りませんから聞き出そうとしても無駄です。例え解除できたとしても、 次に待っているのは人類滅亡ですから余り推奨もできません。ハハハハ……」 古泉の表情は自暴自棄になっていることを伺わせた。そりゃそうだ。もうすぐ自分は死ぬんだからな。 もう何もかもぶちまけてやけくそになってしまいたいのだろう。 だが、礼を言うぞ。これでリセットのチャンスができた。 「ハルヒ! 五分でできるのか!?」 「十分よ!」 ハルヒは目を閉じて意識の集中に入る。情報操作――時間平面のリセット。現状、俺たちができることはこれしかなくなった。 古泉は状況が変わったことに感づいたのか、 「な、何をする気なんですか!? さっきも言いましたが、万一これを乗り切ったとしてもさっき言ったとおり……」 「古泉」 俺はうろたえる古泉の肩をつかんで顔を寄せる。 「まず謝る。巻き込んで済まなかった。お前をこんな目に遭わせたのは、ハルヒじゃなくて俺だ。 俺がそうハルヒにやれっていったんだからな。だから憎むなら俺を憎んでくれ」 「何を言って……」 時間がない。古泉の言葉なんて聞いている暇はないので一方的に続ける。 「その上で確認したい。お前はハルヒや俺と出会って過ごした日々はどうだった? 嫌々続けていたのか、それとも 機関の仕事だからと言う理由で無機質に付き合っていただけか?」 「……いえ。この際だから本音でしゃべらせてもらいますが――その間は自分の仕事も忘れるぐらいに楽しかったです。 いっそそのまま何も考えることなく、あなたや涼宮さんと一緒に楽しく過ごせたらなと思ったほどでした」 それだ、それが確認したかった。 同時に俺はハルヒの方へ振り返り、 「おい、ハルヒ! お前はどうだった? この数週間楽しかったか!?」 ハルヒはしばし考えたのかワンテンポ遅れて、眉をひそめたまま、 「ええ! そうよ! 久しぶりに楽しく過ごせたわ!」 そう言い返してきた。不満が篭もったようないいっぷりだったが、こないだ聞いた話から考えて本音と見て良いだろう。 俺もそうさ。SOS団のある元の世界に比べれば、1割にも満たない満足度だが、決してつまらない日々じゃなかったぞ。 再度古泉を向かって、 「約束させてくれ。絶対にこの罪滅ぼしはさせてもらう。俺の世界じゃ、お前――機関とも仲良くやっていたからな。 この世界も絶対にお前やその他もろもろがハルヒを一緒に笑って過ごせるものにしてやる。絶対の約束だ!」 俺の断言に、古泉は唖然と口を開いたまま言う。 「あなたは……一体誰なんですか?」 俺か? 俺はな…… 「俺はお前や宇宙人――情報統合思念体や未来人が一緒に仲良く共存している世界からやって来た異世界人さ」 そう宣言したとたん、ハルヒを中心に猛烈な強風が吹き始める。 いったんはさよならだ、古泉…… 世界が暗転し、俺の意識も闇へと落ちていった―― ◇◇◇◇ どのくらいの時間が経ったのだろうか。俺はひんやりとした床が方に当たっていることに気が付く。 目を開けてみれば視界に広がるのは、あの灰色の部屋、そしてどこに出もあるような教室の床。 そうか。リセットをかけてここに戻ってきたのか。ハルヒが潜伏場所にしている時間平面の狭間とやらに。 俺はゆっくりと起き上がった。 ふと気が付く。ハルヒが団長席――俺の世界ではだ――に突っ伏して眠っていることに。俺が起きたことに全く気が付かず、 可愛らしい寝息を立て眠りこけていた。あれだけの大仕事を一人でこなしていたんだから、疲れて当然か。 風邪を引くのかどうかわからんが、念のため制服の上着をハルヒの上に掛けてやった。 俺はパイプ椅子に座り考える。 結局の所、機関を作った世界は失敗に終わってしまった。これは認めなければならない。 しかし、古泉を俺たちの仲間内に引き込んだことは間違いじゃなかった。ただ時間がなかっただけで、 もっと時をかけて信頼を醸成していけば、必ず良い関係が築ける。 ――待っていろ古泉。絶対に楽しい日常が続く世界を作り上げてお前を仲間に引き入れてやるからな。 涼宮ハルヒのSS 厳選名作集 長編 涼宮ハルヒの軌跡
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CDS 本店:愛知県岡崎市舞木町字市場46番地 【商号履歴】 CDS株式会社(2005年1月~) 中央立体図株式会社(1980年2月1日~2005年1月) 【株式上場履歴】 <東証1部>2013年11月26日~ <名証1部>2013年11月26日~ <東証2部>2012年9月12日~2013年11月25日(1部指定) <名証2部>2011年11月29日~2013年11月25日(1部指定) <大証JASDAQ>2010年10月12日~2012年11月3日(上場廃止申請) <大証ヘラクレス>2007年12月18日~2010年10月11日(JASDAQに指定替え) 【筆頭株主】 芝崎晶紀社長 【連結子会社】 株式会社MCOR 愛知県岡崎市 100% 【合併履歴】 2005年1月 日 株式会社ティーピーエス 【沿革】 昭和55年2月 愛知県岡崎市舞木町において資本金150万円で技術出版物専業(現在のドキュメンテーション事業)会社として中央立体図株式会社を設立 昭和59年11月 本社所在地を愛知県岡崎市山綱町に移転 昭和60年4月 業務の領域拡大を目的として技術部を新設、専用工作機械設計業務(現在のエンジニアリング事業)を開始 昭和61年2月 写植業務のコンピュータ化によるドキュメント情報のデータ化、処理の高速化を目的として、電算写植システムを導入 昭和61年7月 設計業務のコンピュータ化を目的として技術部にCAD(MICRO CADAM)導入 昭和63年8月 本社所在地を愛知県岡崎市舞木町に社屋建設、移転。電算写植部門を分社化、電算写植業務の専業化を目的として、愛知県岡崎市舞木町において資本金1,000万円で株式会社ティーピーエスを設立(出資比率30%) 平成元年11月 愛知県春日井市に名古屋営業所開設 平成2年9月 広島県広島市南区に株式会社ティーピーエス広島支社開設 平成4年7月 電子出版業務を開始 平成6年7月 カラー印刷物の製版作業をコンピュータ化することにより、製版作業を効率化することを目的として、カラーマネージメントシステムを導入 平成8年4月 3次元CG(コンピュータ・グラフィクス)作成用に3D画像処理ワークステーションを導入 平成8年9月 奈良県大和郡山市に株式会社ティーピーエス奈良営業所(平成17年1月に奈良支社に名称変更)を開設 平成10年6月 設計データの三次元化を目的として、3D―CADシステムを導入。栃木県宇都宮市に株式会社ティーピーエス宇都宮出張所を開設 平成12年10月 長野県松本市に松本支社を開設 平成13年5月 名古屋営業所を名古屋支社に名称変更し、名古屋市中村区に移転 平成15年11月 環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001を本社、名古屋支社、松本支社で取得 平成16年3月 環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001を株式会社ティーピーエス本社、広島支社、奈良営業所で取得 平成16年6月 資本関係の整理のため、株式会社ティーピーエスを子会社化(出資比率100%) 平成17年1月 組織の効率的な運営のために株式会社ティーピーエスを吸収合併。商号をCDS株式会社に変更 平成17年4月 東京都港区に東京支社を開設 平成17年12月 株式会社エムエムシーコンピュータリサーチ(平成18年1月に株式会社MCORに商号変更)の株式を取得(現連結子会社)(出資比率100%)し、技術システム開発事業を開始 平成19年4月 株式会社MCOR本社所在地を愛知県岡崎市小針町に移転 平成19年12月 大阪証券取引所ヘラクレスに株式を上場
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Killing Floor 【きりんぐふろあ】 ジャンル CO-OPサバイバルホラーFPS 対応機種 Windows 開発元発売元 Tripwire Interactive 発売日 2009年5月14日 定価 Steam:1,980円(税8%込) プレイ人数 1~6人 判定 良作 Killing Floorシリーズ:1 - 2 概要 システム 評価点 賛否両論点 問題点 総評 概要 元々は『Unreal』シリーズの1作であり、マルチプレイ特化のFPSである『Unreal Tournament 2004』のMODとして開発されたゲームだった。 だが、非常に人気が高かったためMODの開発メンバーごとTripwire Interactiveが買い取り、単独販売されるに至った。 MOD出身ということもあってユーザーのカスタムマップやルールが豊富。100を越すマップを遊ぶことができる。 英語のみだが有志によって一部日本語化されている。だが、そこまで難しくないのでわざわざ日本語化する必要もない。 大量のゾンビ相手にCO-OP前提ということで、『LEFT 4 DEAD』シリーズとよく比較される。 だが、あちらが敵から逃げ延びて生き残るのが目的ならこちらは敵を殲滅させて生き残るのが目的となる。 システム Wave 1Waveにつき指定された数の敵を倒すことでインターバルを置いて次のWaveへと移行する。基本的に後のWaveの方が強力な敵が登場する。 Waveの数は難易度やルールによって異なるが5~10Waveが基本となる。 Wave中にプレイヤーが死亡すると次のWaveまで復活はできない。また所持していた武器も無くす(*1)。全プレイヤー死亡でゲームオーバー。 全Waveを終えるとボスが登場し、ボスを倒すとゲームクリアとなる。 装備 本ゲームには装備品ごとに重量が設定されており、一部のPerkを除き制限(15kg)を越えて持つことは出来ない。 逆に制限内なら自由に持ち運べる。例えばプライマリやセカンダリを2丁ずつ携行することもできる。 格闘 ナイフなどの弾を必要としない接近戦用武器。 ナイフは無いよりはマシ程度だが斧や刀は格闘が得意でないPerkでも主戦力たりうる。 格闘武器を持つと銃より移動速度が少しアップする。 プライマリ 主戦力として扱うことになるであろう武器。 セカンダリ 無いよりはマシ程度だが、Perkによってはスペシャル武器をポンポン撃てないので雑魚はコレで相手をする必要があったり、他Perkのプライマリ並みに威力を引き上げるPerkもある。 スペシャル 強力だが基本的に重いものが多く、なかには10kgを超えるものも存在し装備の幅を制限する。 しかしその分威力は高く、大物を一撃で倒すことも出来る。 補助装備 上記に該当しない、全Perkの共通装備。 ハンドグレネード、ライフジャケット、注射器、溶接機が該当。 ハンドグレネードはPerkに寄って微妙に性能が異なる。ライフジャケットはHPをある程度肩代わりして被ダメージを軽減出来る。 注射機はチームメイト若しくは自分の体力回復だが、基本的にチームメイトに対してなら連続で2回分使える。 溶接機はマップ内の扉を溶接し、敵に壊されるまでの間は侵攻ルートを減らすことが出来る。 敵は扉を優先して攻撃し易いので、マップによって扉を囮に使ったり、生命線として死守したり戦略が異なる。 重量は全部まとめて1kgで固定。 Perk 他FPSで言う所の兵科のようなもの。持てる武器に制限はないが、得意とする武器やPerk特性などが異なる。 後述のTraderでPerkの得意武器は値引き販売される。 Field Medic 回復に特化したPerk。注射器の回復速度やライフジャケットの耐久力が上がり、グレネードにも味方の回復効果が追加される。 メンバーの生存率があがるがダメージボーナスがないので、チームにいすぎると殲滅力が下がり、敵に対抗できなくなる。 Support Specialist ショットガンや溶接が得意。また所持可能重量を増やすことが出来る唯一のPerk。グレネードは威力も上がる。 扉の溶接速度が上がるので、敵の足止めが行いやすい。またショットガンは大型の強敵に威力を発揮するため、地味ながら重要なPerk。 Sharp Shooter ヘッドショットにダメージボーナスが付くPerk。 強敵を少ない弾数で素早く倒すことができるが正確なAIM力が要求される。特に強力な武器は弾倉の数が少ない。 Commando アサルトライフルにダメージボーナスが付くPerk。 また、敵の体力ゲージが表示されるため透明な敵にも対応しやすい。弾数も豊富なので初心者向けPerkだが、それでもヘッドショットを狙えないとジリ貧になる。 Berserker 近接攻撃が得意なPerk。移動スピードと防御力もあがる。 高い耐久力を活かして囮役としても活躍できるが、敵の攻撃をまともに受けるので立ち回りが重要。 Demolition 爆発物に特化したPerk。グレネードも威力アップ。 爆発物は強力だが粉塵による視界の妨害や自爆には注意。また、弾数も少ないので慎重に立ち回りたい。 Firebug 火炎放射器が得意なPerk。敵や味方の火炎弾に耐性があり、炎上しない。レベルが上がるとグレネードで自爆しなくなる。 大量の雑魚の殲滅力はあるが、HPの高い強敵は不得意。 各Perkは特定の行動をこなすことで最大6までレベルアップする(*2)。 各Perk毎にレベルが設定されており、レベルアップで初期装備が9mmハンドガンからPerkに対応した強力な物となり、レベルアップでPerk特性もパワーアップする。 Trader 各Waveの合間にだけマップのどこかに現れる武器商人。敵を倒して得たお金で武器のアップグレードや弾薬の補充ができる。 イギリスが舞台なので通貨はポンド。キャラクターたちもイギリス訛で話す。 基本は女性が店番をしているが、コラボで別のキャラが担当することもある。 出現ポイントは決まっているが、次にどこに現れるかはWave毎にランダムに決まる。 60秒(Beginnerでは90秒)という短い時間なのでWave最後の敵はTrader付近まで引きつけて倒すのが暗黙の了解。 ここでWave間につき一度だけPerkを変更できる。 Zed-Time いわゆるバレットタイム。プレイヤーの誰かがヘッドショットで敵を倒すと、全プレイヤーが同時に一定時間スローモーになる。 Zed-Time中にヘッドショットをすると時間を延長できる。 評価点 大量の弾丸と大量の敵が織りなす爽快感溢れるFPS 大量に現れるクリーチャー(Specimen)を大量の銃弾と爆薬でなぎ倒す爽快感溢れるゲーム。 元が古いゲームだったためか、ヒットボックス(当たり判定)が結構大雑把。FPS初心者にもおすすめ。 フレンドリファイアもない(*3)ため混戦でも遠慮なくぶっ放せる。 弾切れはあるが、マップにポップするアイテムで補給も可能。思う存分トリガーハッピーを満喫できる。 協力プレイ 仲間との協力を前提とした難易度である。強敵や大量の敵を協力して切り抜けるカタルシスは他のゲームでは味わえない特徴。 所持金や武器を渡すことができるので、途中のWaveから入ってきた人に渡してあげることで素早く戦力補給ができる。 1人のうまいプレイヤーで殲滅もできなくはないが、あまり効率的ではない。 個性豊かな敵 本作は生化学実験で生まれたSpecimenと呼ばれる化物から生き延びることを目的としている。 ゾンビのように鈍重な者から透明になって忍び寄ってくる者、巨大で強力な者など多彩な敵を相手する。 敵によって倒し方の最適解が異なるため、チーム内でPerkのバランスをとり、協力しあって倒すことになる。 多彩なカスタムマップ 上記の通りユーザーによるカスタムマップやルールをサーバにおいて誰でも気軽に遊べるようになる。 基本はWaveごとに現れる敵を殲滅するのみだが、ゴールまで生き延びることを目的にしたマップやバイオハザードを模したマップなど色々。 申し訳程度の課金要素 DLCなどで課金要素はあるが、そのほとんどはキャラの見た目変更。なくても攻略にはまったく困らない。 後年になって武器パックの販売を始めたが、すでにデフォルト武器での攻略が確立していたためやはり無くても問題ない。あれば楽になるが無くてもどうにかなる程度の性能。 さらに後年にはデフォルト武器の弾薬を値上げするなどのテコ入れもあったが、ささやか過ぎてやはり問題視されなかった。 賛否両論点 初心者に優しくないゲームデザイン ソロプレイモードがあるが、マルチプレイとの違いは同じルールを1人でさせられるオマケのようなもの。 当然難易度が高いため生き残るのは困難極まりない。ソロでセオリーを覚えてから、といったことは出来ないと考えた方がよい。 一応1人用に敵の出現数、最大体力やプレイヤー回復速度などは調整されるが、Beginner以外のクリアにはコツが必要。 Normal以上でもBerserkerやFire bugでマラソンし、ボスはDemolitionで倒せるがその経験はマルチではあまり活かされない。 そのため、ゲームを楽しむためにはマルチプレイに飛び込むのが一番だが、篭り場所やWaveの最後の敵はTrader付近まで引っ張るなど、暗黙の了解を理解するまではなかなか楽しめない。 ただ、こういった問題は低難易度モードで勝手に覚えていくので問題視するほどでもないだろうか、 参加人数で難易度が異なる 最大6人参加できるが参加人数によってWave毎の敵の体力や湧き数が異なってくる。 1人はもちろんのこと、2人や3人でも最後まで生き残るのは難しい。逆に6人だと非常に楽になる。 この温度差が非常に激しくバランスが悪く不満に感じるプレイヤーもいる。 鯖立が面倒 古いゲームなのでDedicatedサーバー形式で、自分でサーバーを立てるには手動でポートを開放したり初心者にはハードルが高い。 一応自サバに拘らなければゲーム自体は普通に楽しめる。 問題点 マップは多彩だが戦略は単純 基本的にどのマップでも有効なキャンプに適した場所を見つけ、味方と固まって籠城し、向かってくる敵をひたすら撃ち倒すのみである。 敵の種類は多いが、マップごとに異なる動きも見せないため10Waveもこなせば一通りの敵を見ることができる。 季節限定マップなどでは異なる敵(限定グラの中身は通常敵)が現れたりする。 デフォルトが単純な分、カスタムマップで色々遊べるようにはなっている。 全体マップが無い マップ構造は複雑なものが多いが、ゲーム中に全体マップを確認できない。繰り返し遊んで覚えるか、メンバーからはぐれないよう頑張るしかない。 立体構造だとマップを作り辛かったり、そもそも全体マップが標準搭載のゲーム自体は多くはない。しかしチームに一人欠員が出ただけで難易度が急変する、チームワークが大事なゲームなのでなにか欲しいところではある。 死亡したりゲーム参加前の状態だとカメラを自由に動かして周囲の様子を探る機能はある。 Waveの途中ではゲームに入れない。 途中で入った場合インターバル(Trader)まで待つことになる。 しかし、途中からの参戦だと初期装備と少ない所持金しかないので戦力を整えるのは難しい。特に終盤近いと生き残りは絶望的。 Perkのレベルが高くなると初期装備が強力になるため即戦力になるが、高レベルになるには結構な時間がかかる。 高難易度ともなれば敵の数も増えてくるため、スポーン直後の初期装備では弾がまったく足りない。 先に参加しているプレイヤーからお金を貰えれば整えることもできるが、インターバルは短いため素早くこなす必要がある。 Traderの出現位置がスポーン地点から遠かった場合はもうお手上げといわざるを得ない。 また、キャンプが基本になるゲームデザイン上、Wave数にもよるがゲームに参加できるまでの待ち時間が長い。 総評 古いゲームを元にしたゲームだが、現在までもプレイヤーの多いFPS史に名を残す名作である。 Steamで英語のみで日本語未対応となっているが、安価でお手軽なので気軽に楽しめることができる。 ただし、Steamではレーティング無しだがCERO Z(18歳以上のみ対象)に相当する残虐表現があることは要注意である。 また、続編の『Killing Floor 2』がWin/PS4/Oneで発売されているので、そちらもチェックしてみてもよいだろう。
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ファイティングレイヤー 【ふぁいてぃんぐれいやー】 ジャンル 対戦格闘アクション 対応機種 アーケード(SYSTEM12) 販売元 ナムコ 開発元 アリカ 稼働開始日 1998年12月25日 プレイ人数 1人~2人 判定 良作 ポイント ドマイナーな良作格ゲー 概要 評価点 問題点 総評 余談 その後の展開 概要 アリカ製作の3D格闘ゲーム。『ストリートファイターEX』と開発元が同じであるためその血統色が強く、一部キャラクターがゲスト出演している。 格闘ゲームとしては珍しくステージ選択制度を採用。次に戦う相手をある程度選ぶ事ができる。 途中、中ボスとして別に勝たなくて良い鎧の騎士・ランスナイト(*1)や、虎や鮫や大鷲といった動物と戦うステージ(*2)もある。これらの戦いは設定に関わらず1本勝負で、特殊なものとなっている。 ストーリーは「強者が集うザウスアイランドに様々な事情のある強者が集まった」と言うシンプルなもの。キャラクター同士の掛け合いなどは無く、それどころか殆ど喋らない。 BGMはキャラクターで固定されており、中ボス及びラスボス戦以外ずっと使用キャラのテーマ曲が流れる(*3)。音楽スタッフに細江慎治(*4)がおり、曲のクオリティはなかなか高い。 評価点 格闘ゲームと言うのは往々にしてバランスの良し悪しが出てくるもので、「○○を使わなければ」「××さえ無ければ」というところを抜きにすれば完成度の高いものは多いが、本作はそういった条件無しに、全キャラ安定して勝機が見出せるようになっている。 全キャラクターが非常に癖の強い性能を有していながら優れたキャラバランスを持つ(もちろんやり込んでいくとある程度の差は見えるが、他の格闘ゲームに比べてもその差は小さい方)。一因として、全体的に攻撃力が高めな点と、各キャラごとに独自の強み・弱みがきちんと設定されている点が挙げられる。 見た目的にも、いろいろな格闘ゲームの色物キャラをかき集めたようになっている。 例えばいわゆる胴着キャラ。『ストリートファイター』のリュウやケンのように、飛び道具・対空・突撃技の三つを兼ね備えたキャラ「アレン・スナイダー」がストリートファイターEXからのゲストとして出ているのだが、爆発力は高いものの切り返しが難しいという、実に長所と短所がはっきりしたキャラになっている。 例えば「カプリッチョ」。とある部族の戦士で、色物だらけの本作キャラでも群を抜いての色物だが、攻撃キノコを育てる・投げる・設置する、回復キノコを育てる・食べる…と、トリッキーでユニークな技が揃い、設置技キャラとしては屈指の戦略自由度を誇る。 「加藤鉄雄」にしても、確かに主人公らしく使いやすくはあるのだが、コマンドの追加入力で威力を増す必殺技や、信用できる対空技が無い等、かなりピーキーな面も持っている。見た目も胴着を着てはいるが波模様がある柄胴着と、なかなか個性的。 当時流行していたタイムリリース機能が本作にも設定されており、中ボスの3人が使えるようになるのだが、きちんとバランスは調整されており、お手軽強キャラにはなっていない。 操作方法は『ストEX』シリーズがベース。 つまりは従来の『ストリートファイター』シリーズの操作形態に近い6ボタン形式であり、これらの格闘ゲームに慣れていればすんなりと順応できる。 『ストEX』シリーズに無かった要素として、本作ではダッシュ(フロントステップ)とバックダッシュ(バックステップ)、軸移動(コマンドは→+強P(奥)or強K(手前))が搭載されている。 その他、下記の多くの新システムがある。 駆け引きを盛り上げる数多くのシステム。 ゲージを消費して出せる強力な超必殺技のバレッジブロウ。いわゆるスーパーコンボに相当するが、連続技の威力が高めで癖のあるバレッジブロウが多い本作では、ゲージ管理は他の格闘ゲームよりも慎重にならざるを得ない。 同じ威力の攻撃ボタンを押す事で出せるハードアタック。必殺技扱いの中段技で、通常技をキャンセルして出すことができる。下段ガードしてる相手に当てるとよろめかせる事ができ、さらなる追撃が狙える。威力も高くラッシュの選択肢として強力。ただし、通常技から連続ヒット・連続ガードになることはない程度に出が遅く(キャラ性能にもよるが)、ガードされると隙がある上バレッジブロウ以外ではキャンセル不可であるため、ハイリスク・ハイリターンである。 ゲージを一回分消費して起き上がりに攻撃が出来るハードリバーサル。出し方が非常に簡単で無敵時間が長く、これにより安易な起き上がり攻めが難しくなる。もちろん、自分自身でタイミングを合わせてリバーサル技を出すこともできる。本作ではリバーサル技の受付猶予時間がかなり長く、先行入力が効くのでとても出し易い。 あらゆる攻撃を無効化する緊急回避のスーパーイリューション。殴られてようが倒れてようが投げられていようが瞬時に発動し、しかもゲージも満タンに。その上スーパーイリューション中は無敵状態で相手を遠ざける斥力が働くため、ほぼ確実に仕切りなおしの状況に持ち込める。しかし1試合に1回しか使えないため、使いどころが難しい。 弱攻撃を連打する事でコンボを決めるイージーコンビネーション。コンボを知らなくてもある程度の破壊力が発揮できるため、初心者でも中級者とそれなりに渡り合う事ができる。 通常技をキャンセルして出せる必殺技に限るが、必殺技をキャンセルしてバレッジブロウにつなげるスーパーキャンセル。連続技を伸ばすことができ、爆発力を駆使して一気に畳み掛けられるが、削り能力が消滅するのでガードされると弱い。しかし反撃確定の必殺技のフォローに使えたりもするので重要。 技同士がぶつかると発生し、次の行動で前の技をキャンセルできるようになるブロウクワイツ。相手の技に反応してこれを狙い、判断力の隙を突いた攻めも効果的。 中攻撃以上の通常技・特殊技・必殺技が命中した際、ボタンを追加入力する事で威力が増し、ゲージ増加量も増すジャストヒット。これも狙うのが難しいが、多段ヒット技の最中などにはノーリスクで狙っていける。同じ技を同じ状況で叩き込んでも、ジャストヒットの成否により威力は毎回違ったものになってくる。 特定の通常技や必殺技、バレッジブロウで止めを刺すことで画面内にでかでかと技名が表記されるオートネーミングシステム。これで止めを刺すと非常にかっこいいので、性能が悪い技でも無意味になりにくい。 ただし、オートとは名ばかりでランダムで付いているわけではない。ある程度決めていくと法則がわかってくる。 中には「プレミアムコンボ」として指定されている組み合わせもあり、例えば加藤鉄雄のバレッジブロウ「漢祭り」を後ろ大パンチからつなげて倒すと、画面にでかでかと漢縛りと表示される。字としてはアレだが映像としてみるとかなり熱い。 プレミアムコンボは非常に奥が深く、1キャラクターにつき5~7個ずつ存在し名前の種類は計88種類あることが非公式ながらも明らかになっているが、発売から20年以上が経過した今も、熱心な研究にもかかわらず残り14種が発見されていない。なお、アリカ副社長はこの件について質問されると必ず秘密ですと返す(*5)。 格闘ゲーマー、特にそのゲームに慣れている者ほど無駄な時間になりやすい、かと言ってスコアアタックやタイムアタックを行うには少し落ち着かない「乱入待ちのCPU戦」も、このシステムによって他の格闘ゲームより少し有意義にプレイできる。対人戦に重きをおいてCPU戦がおざなりにされがちなこのジャンルにおいては斬新な視点のシステムと言えよう。 問題点 ゲーム全体から漂うB級感。これに尽きるだろう。 『ストリートファイターEX』の「EXならでは」の部分を抽出し、色濃く煮詰めたゲーム性や演出の数々は良く言えば個性的、悪く言えば特異すぎて、一般ゲーマーはおろか熟練の格闘ゲームプレイヤーでもドン引きしてしまったものと思われる。 粗いポリゴンで描かれた見た目も特に新鮮なものではなく、グラフィック面で人を惹きつけるものが少なかったのも原因の一つ。 対戦ツールとしての完成度は非常に高く、イージーコンビネーションも本作初心者救済の効果をある程度発揮しているのだが、その実覚えることが非常に多い。本当の格闘ゲーム初心者には不向きなつくりになっている。 必殺技や特殊技の種類は豊富なのだが、対戦ではどうして存在しているのか価値を見出せない、いわゆる「死に技」が結構多いのも一因。世の中に流通している情報量が少なく、HPで調べる程度ではそれを知ることがなかなか難しい。 CPU戦の難易度が比較的高め。特にランスナイト・動物・ラスボスは、特殊なアーマー持ちだったり技のほとんどがガード不能だったりと、通常のキャラと違う特殊な性能を持つため、性能やパターンを知らないとまず勝てない。 特に顕著なのは、隠しボスの真ランスナイト。なんと、 試合開始前に ライフ半分ダメージ 気絶効果を持つランスを投げて来る。回避するにはスーパーイリューションをタイミング良く出す必要がある。 また容量の関係上と思われるが、エンディングが全キャラ共通部分が多く味気ない。 総評 対戦ツールとして屈指の完成度を誇る作品。 ドマイナーなため対戦相手が少ないと言う欠点はあるものの、本作をある程度把握しているプレイヤー同士の対戦は非常に熱い。 キャラクター毎の相性・強弱はある程度あれど、連続技の威力が比較的高めの本作はどのキャラでも勝機が見出せるため、常に緊張感のある戦いが楽しめる。 駆け引き・テクニックが要求され、腕の良いプレイヤーが勝つという、格闘ゲーム本来の性質を考えると、本作は紛れも無い名作と言っていいだろう。 が、あくまでもそれは「格闘ゲームプレイヤーに限った話」である。 格闘ゲームを殆どやらず、対戦にもさして興味の無いプレイヤーには、ただのマイナーな格闘ゲームに過ぎないのが少し残念である。 余談 出回りが悪く、移植も絶望的(発売元がナムコであるため、版権の問題だと思われる)。おかげで知名度も低い。 アリカ副社長が移植についてあるイベントで尋ねられた際「基板屋へGo!(移植の予定ないんで基板買ってね!)」と発言している。しかしただでさえ出回りが悪いのに、欲しい人が基板屋で買っているので中古市場にも殆ど出てこず、値段も高い。 また、『ストリートファイターEX』からのゲストキャラ2人であるブレア・デイムとアレン・スナイダーについては、その後『ストEX』シリーズに未登場となった。 明確な理由は明らかになっていないが、発売会社の異なる本作に登場したことが理由ではないかと噂されることがある。 アリカオリジナルキャラの中でも、割合存在感を発揮していた二人だけに惜しまれる点である。 その後、この二人は後述する『ファイティングEXレイヤー』にて復帰した。 主人公加藤鉄雄のBGMが「TE-20」と言う名称になり、『太鼓の達人12 ド~ン!と増量版』でアーケード限定でアレンジ収録されている。 増量版は出回りが悪いので、幻の一曲になっている。 同社の音楽ゲーム『テクニクティクス』でも採用されている。 PS2で発売された『ストリートファイターEX3』には本作のシステムのハードアタックが輸入されており、同作のエディットキャラ・エースが使用できる技の中に本作のキャラクター「加藤鉄雄」の技や、アレンとブレアの技もある。 後に鉄雄とエースは双子の兄弟であるという衝撃の裏設定が明かされた。 その後の展開 2018年6月28日に、本作と『ストリートファイターEX』シリーズの流れを汲む新規タイトル『ファイティングEXレイヤー』がPS4で発売された(*6)。発売時点で本作のオリジナルキャラは登場していないが、ダッシュの導入やハードアタックやイージーコンボのシステムに本作との類似点が見られる。 まずは『ストEX』シリーズのキャラクターを優先して登場させる方針とのことで、一通り出揃った後は今後『レイヤー』キャラクターが追加登場する可能性もある。 更に2021年4月1日に、Nintendo Switch版『FIGHTING EX LAYER -ANOTHER DASH-』が基本無料のダウンロード専売タイトルとして配信された。「FIGHTING EX LAYER 第二章開幕!」とのキャッチコピーで、FEXLシリーズのアナザータイトルの位置づけ。システムに変更が見られる。
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スターソルジャー 【すたーそるじゃー】 ジャンル シューティング 対応機種 ファミリーコンピュータ 発売・開発元 ハドソン 発売日 1986年6月13日 定価 4,666円(税別) 配信 バーチャルコンソール【Wii】2007年7月3日/500Wiiポイント【3DS】2012年11月14日/500円 移植 GBA『ファミコンミニシリーズ』第一弾(2004年2月14日発売) 判定 良作 キャラバンシューティングシリーズ 概要 ストーリー 評価点 問題点 総評 余談 移植 概要 『スターフォース』のファミコン移植を担当したハドソンが、その大ヒットを受けて制作したオリジナルSTG(*1)。 そのため『スターフォース』と同じく1つのショットで空中・地上両方の敵を破壊できる、ひたすら撃ちまくるタイプの縦スクロールSTGとなっている。 全16ステージ。各ステージの最後にはボスキャラが登場する。 ステージ13以降はバリア装備時に限り敵が誘導弾を撃ってくる様になる。 16ステージをクリアすると、その後裏面に行けるようになる。裏面はバリアの有無にかかわらず、最初から誘導弾が飛んでくる高難易度。 ストーリー 時空新世紀××.×年。宇宙を航行する船が正体不明の敵から無差別攻撃を受けるという事件が続発していた。事態を重くみた惑星連合軍は、原因究明のため大型戦艦を出撃させた。しかし、帰ってきたのは調査報告を搭載した調査カプセルだけだったのである。この報告によって、敵は人工頭脳に制御された巨大な浮遊大陸であることが判明。この浮遊大陸を破壊できるのは、最新小型戦闘機"シーザー"以外には考えられないという結論にたっしたのであった…。 キミの任務は全宇宙から選び出された、ただ1人の宇宙戦士としてシーザーに乗り込み 浮遊大陸をコントロールしている人工頭脳を破壊することである。 (説明書より引用) 評価点 ファミコンキャラバンで有名なSTG。映画『GAME KING 高橋名人VS毛利名人 激突!大決戦』で扱われた作品でもある。 それだけに得点に関する要素は豊富で、連隊が画面から消えるまで次の連隊は出現しない、各面に8つ存在し出すごとに得点が多くなる隠しアイテムゼグ、ラザロの合体前撃破8万点、デライラ同時撃破で8万点といった、腕と知識が得点に直結する作りになっている。 上記の隠しアイテム「ゼグ」以外にも、「野沢さん」「まっとうクジラ」「ミロン」(※後に発売された『迷宮組曲 ミロンの大冒険』の主人公)といった高得点の隠しキャラや、高威力の「レーザー」(後述)、ボタン押しっぱなしでの自弾自動発射が早くなる「高橋名人の指」などさまざま。前作のスターフォースにもあった要素を継承、発展させている。 本作の影響から、多くのプレイヤーが得点を意識するようになり、ファミコンゲーム業界はスコアアタック時代に突入することになった。 パワーアップすると軽快なBGMに変わり、パワーアップの段階によってシーザーの形状が変化する。爽快感とテンションが同時にかきたてられる演出。 単純ではない、戦略性のあるパワーアップシステム。 最大パワーアップは広範囲攻撃が可能なだけで、前方への攻撃力が少ない。 最大パワーアップ時に敵弾に当たると前方2発、後方1発にダウンするが、前方への攻撃力は最大時の2倍。 この状態になると、デライラ同時撃破ができなくなるいっぽうで、ラザロやスターブレインを破壊しやすくなる。 最大パワーアップ時に張られるバリアは耐久力を回復させる手段がないため、意図的に被弾してバリアを剥がし、再び張り直す戦法もある。 隠しアイテム「レーザー」の存在。これは連射が効かないかわり、前方のみにラザロなど一部の敵以外を貫通する強力な光線を発射できるようになる。入手後はセレクトボタンで通常弾との切替が可能。 公式でのアナウンスは、高橋名人の連射力にあやかってか「通常弾の16倍」の威力で、通常弾32発で倒せるボス「スターブレイン」を2発で倒せる。 実はこのレーザーは当初は普通のパワーアップの流れで装備できるはずだったが、連射がウリのゲームというコンセプトを壊すものだったと実装してから気付いたらしい。しかしプログラムとして実装された後のため手間をかけて消すぐらいならばということでボツにはせず結果的に隠しアイテム扱いとなった。 比較的初期の作品ながら、グラフィックの質の高さもFCのSTGとしては上位レベルに入るだろう。 4の倍数面に出現するボス「ビッグスターブレイン」の存在 当時高橋名人が攻略ビデオにて「画面の8割を占める巨大ボスで、ギネスにも載るんじゃないかな」というほどの巨大さを誇る。今でこそ珍しくもないが、当時は斬新な設定で、そのインパクトは絶大であった。 問題点 「トラップゾーン」と呼ばれる、一部の地形の裏側に隠れられるシステムがある。敵の攻撃をやり過ごす救済手段として用意されたと思われるが… 潜っている間はプレイヤーも攻撃できなくなり、自機の姿も見えなくなる(バリアを装備していれば、一応位置はわかるが)ので、ゾーンを抜けた直後、敵の猛攻にさらされるリスクのほうが高く、あまり活用できるものではなかった。 潜り込むポイントは地形の下側と決まっているが、画面に明示されているわけではないので、活用するなら(もしくはハマらないように)覚えるしかない。 じつはこの仕様、プロトタイプの段階では存在しなかったのだが、テストプレイを見たハドソン社長の鶴の一声で追加されたという逸話がある。 トラップゾーン出入り時はパワーカプセル取得時やバリア解除時の無敵状態ような挙動を見せるが、この時は無敵状態ではないのもまぎらわしい。 後半ステージや裏面では敵の攻撃が非常に激しく、トラップゾーンのおかげで難を逃れられる事もある。 誘導弾が凶悪 後半面になると敵が誘導弾を放ってくるが、どれだけ切り返しても追尾してくるうえ、軌道や速度も不安定だったりと、アルゴリズムが洗練されているとはいいがたい。 別の敵機や弾が出現すると誘導が切れるので、それまでひたすら逃げまわるか、パワーアップ時の全滅効果や無敵時間で弾を吸収するか、画面外に誘導して消すことでしのぐしかない。 敵弾をくらってバリアがなくなれば誘導弾を撃ってこないので、意図的に当たる、という攻略法もあった。ただしその場合、当然ながらデライラボーナスは諦めるしかない。 裏面ではバリアがなくともパワーアップを1つ取得しただけで誘導弾を撃ってくるため、この攻略法は使えない。 ひたすら連射。 ウリであり魅力である反面、ボタン1回あたり弾1発なので、他STGにくらべるとプレイ終了後の疲労感は尋常ではない。当然ながらボタン連打を繰り返せば、コントローラーへの負荷も尋常ではない。 パワーアップすればボタン押しっぱなしでも連射が可能になるが、それでもラザロやデライラなどの硬い敵にはたいして役に立たない。 快適にプレイしたいなら連射コントローラーは用意した方がいいだろう(クリアするだけであれば必須ではない)。 本作の発売日に、ハドソンより連射コントローラー「ジョイカードMk.2」も同時発売されている。 連射がコンセプトのゲームなので上記の問題に目を瞑るとしてもスコアの大部分が8万点ボーナスに集約されすぎている。そのため空中キャラを連射で撃墜しまくっても大した得点にならない。 実際『GAME KING 高橋名人VS毛利名人 激突!大決戦』でも、8万点ボーナスを相手が逸すミス待ち状態のようになってしまっていた。 エンディングが味気ない。 苦労して全16面をクリアしても、ゲームオーバー時と同じ曲が流れる中「OPERATION COMPLETE CONGRATULATIONS」のメッセージが表示されるだけで、すぐに裏面に突入となる。 その裏面を苦労してクリアしても、やはりエンディングは上記のみ。 総評 グラフィック、BGM、スコアアタックや戦略性と、STGの基礎がしっかりつくられている名作STG。 ゲームの品質といった点以外にも、「高橋名人」の人気を頂点に押し上げ、当時の子供たちを興奮の渦に巻き込んだという点は、日本のゲーム史・玩具史といった観点からも注目すべきソフトである。 現在でも根強い人気があり、本作を異様に神聖視する者も少なくない。 余談 パッケージに描かれている青年の正体は現在でも謎のままである。 単純に考えればパイロットだが、具体的に明記されてはいない。 この青年のイラストはNES版『ヘクター 87』のパッケージにも流用されている。そのかわり本作のNES版には別の男性のイラストが描かれている。 『ファイナルソルジャー』のサントラブックレットには、スターソルジャーチーム唯一の生き残りであるパイロット「ショウ・クーガ中尉」という似たような見た目の人物が登場するのだが、この設定を書いた原田一記氏いわく「スターソルジャーのこの人ではないと思う。だってショウ・クーガというキャラは僕が設定したから。この人誰?」とのことで、まったくの別人である。 ちなみにこの青年キャラのデザインを担当したのは、当時アニメーターで後に『コットン』シリーズを手掛ける田村英樹氏。 だがその田村氏ですら「設定を全く考慮せずにデザイン、執筆した。」と発言しており、青年についてはやはり謎のままとなっている。 本作のステージボス「スターブレイン」と同名の中ボスが、同じハドソン製の『高橋名人のBugってハニー』に登場する予定だったが、没になってしまった。もっとも容姿は似ても似つかないブヨブヨのモンスターなのだが。 本作とテクモが発売した『スーパースターフォース 時空暦の秘密』との関係性については、「ハドソンが自社で制作したFC版スターフォースの続編として『スーパースターフォース』で制作を進めていたが、テクモも同タイトルのソフトを企画していたため、ハドソン側がデザインとタイトルを変更して発売することになった」という説がまかり通っていたが、岩崎啓眞氏が関係各位に確認を取ったところ「ハドソンがテクモに話を通さずに勝手に続編の企画を進めてコロコロコミックで発表したのをテクモの社長が知って「なに勘違いしてんだ! だったらうちで出す!」と激怒して版権が使えなくなったので、しょうがなくオリジナルのシューティングに路線変更した」というのが真相らしい。つまり企画がバッティングしたとかの話ではなく、単にハドソンがやらかしたという話。 ちなみに元テクモ関係者によると「ちゃんと話を通していれば、おそらく『スーパースターフォース』で発売できていただろう」とのこと。 2006年に『ソルジャーフォース』という同人ゲームがリリースされたが、ゲーム内容が本作に酷似していたためか(*2)権利元から発禁を食らった(*3)模様。制作は『トラブル☆ウィッチーズ』を開発したスタジオシエスタ。 このゲームではシーザーの他に『ヘクター 87』のノア、アップデート追加で『スターフォース』のファイナルスターSS、シーザーの強化版ゴールデンハミングが自機として使用可能だった。更に裏面では過去のキャラバンシューティングシリーズのアレンジBGMが流れるなど、出来は意外にも良かった…が、上記の通りあまりにもゲーム内容がそのまんますぎたのがいけなかったようである。 動画サイトを検索すれば今もプレイ動画は出てくるので、興味のある方は調べて参照されたし。 移植 様々な機種にリメイク、および移植されている。 MSX・SFC・GBA・GC・PS2・PSP・Switch。携帯のiアプリなどにも移植されている。 MSX版はFC版と同年の発売で、グラフィックがFC版よりも劣るもののハードスペックを考えればまずまずの移植度となっている(*4)。ただし裏ステージやスーパーレーザーなどの隠し要素は全てカットされてしまっている(*5)。 GC・PS2版は本作の続編(のひとつ)に位置づけられ、新兵器ブラスターや弾幕色の強いボスなど本作と毛色の異なる要素は多いものの、ボーナス満載&連射命な内容は本作ゆずりである。PSP版はGC・PS2版のリメイク。 GBAでは週刊少年ジャンプで連載されていた漫画『ボボボーボ・ボーボボ』のゲームの『ボボボーボ・ボーボボ 9極戦士ギャグ融合』のミニゲームの1つに本作をパロディとした『スターボルジャー』が収録されている。
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このページではアーケード版『忍者くん 魔城の冒険』 (良作) と、そのFC移植版 (劣化ゲー) を紹介しています。 忍者くん 魔城の冒険 概要 システム 評価点 問題点 総評 移植 続編 余談 忍者くん 魔城の冒険 (FC) 概要(FC) AC版からの変更点・問題点(FC) 変更点・賛否両論点(FC) 評価点(FC) 総評(FC) 忍者くん 魔城の冒険 【にんじゃくん まじょうのぼうけん】 ジャンル アクション 対応機種 アーケード 開発・販売元 UPL 稼働開始日 1984年 配信 アーケードアーカイブス/838円(税込)【PS4】2014年5月15日【Switch】2018年4月5日 判定 良作 忍者くんシリーズ 概要 UPLの代表作とも言えるアクションゲーム。 お城や岩山を舞台に1.5頭身の赤い忍装束に身を包んだ『忍者くん』を操作し、敵を殲滅することが目的。 システム 1レバー(左右方向)+2ボタン(攻撃・ジャンプ)の即死制2Dアクション。段差を昇り降りすることで画面が縦にスクロールする。 敵の飛び道具による攻撃や炎に接触するとミス。 攻撃ボタンで一定距離まで飛ぶ手裏剣を投げる。敵を倒すだけでなく敵の攻撃も相殺することができる(一部例外あり)。 レバーニュートラル+ジャンプで足場を降りる、横移動+ジャンプで小ジャンプ、横移動+ジャンプ長押で段差を登れる大ジャンプという具合にジャンプボタンを使いわける必要がある。 ジャンプ中に敵に体当たりをすると、その敵はしばらく気絶する。しかし、敵もジャンプ中だと跳ね返って失敗してしまう。また、逆に敵から体当たりされると気絶としてしばらく操作不能になる。 ステージ上にいる8人の敵すべてを倒す事でクリアとなる。 また、ステージ開始から一定時間経過すると天から七色の光る玉が降りてくる。これを3個集めてクリアするとボーナスステージに移行する。 ボーナスステージでは敵が登場せず、制限時間内にステージ上の光る玉をすべて回収することでボーナス点を獲得できる。 ボーナスステージは全16ステージ。ステージ7以降は触るとミスになるドクロの玉も置かれている。ステージ16をクリアするとステージ1に戻る。 光る玉やドクロの玉は手裏剣を当てると移動する。高次ステージは光る玉やドクロの玉を上手く移動させないと制限時間内の全回収は困難。終盤はドクロの玉が増えて難易度が上がる。 全32ステージ。1ステージにつき「同じ敵キャラ×7人」+ステージ最上段に「1段階強いボス敵×1人」の8人構成が基本。ただしステージ1・2はボスも含めて8人全員が黒子。 ステージ1~24は、8種類の敵が3ステージずつ出現。背景は3種類ありステージ24まで3ステージごとにループ。3の倍数ステージはお城の背景になる。 ステージ22~24は雑魚敵7人が最強のヨロイだが、ボスは強化もされていない最弱の黒子が出てくる。 ステージ24はヨロイが7人いるだけではなく、忍者くんをすごい勢いで追いかけてくる最難関レベルのステージ。 ステージ25~32は全ての敵が混成軍として出てくる。ステージ32以降は、ステージ25~32の繰り返し。背景は25~27が背景1、28~30が背景2、31・32が背景3(お城)。 ステージ29~32ではボス敵を最後に残すとBGMが変わり分身の術を使ってくる。倒せるのは本体だけで、分身は倒せない。 + 敵キャラ一覧 黒子 赤いサングラスのような目が特徴の最初の敵。 武器は忍者くんと同じ性能の手裏剣だが、忍者くんよりも連射性能は若干劣る(ファミコン版では同性能)。 ダルマ 三日月の形をした鎌で攻撃してくる。 連射性能は忍者くんと互角で(ファミコン版ではダルマが上)、斜めにも飛ばすことができる。 カブキ 赤い髪と青い衣装の、名前どおり派手な見た目の敵。 放物線を描いて飛ぶ爆弾を投げてくる。 カミナリ小僧 外見は青いカミナリ様で、高速のカミナリを放って攻撃してくる。 連射性能も凄まじく、真正面から打ち合っても到底勝ち目は無い。 獅子舞 口から炎を飛ばして攻撃してくる。 炎はしばらくの間画面に残り、手裏剣で消すことができないのでかなり厄介。 ファミコン版には登場しない。 ガイコツ 画面端まで届く刀を連射してくる。 離れていたり落下中にも連射攻撃してくるので注意が必要。 ファミコン版には登場しない。 トカゲ 二足歩行でウロウロする口の大きなトカゲで、赤い人魂のような炎を吐いて攻撃してくる。 炎は上下にフラフラしながら忍者くんを追尾し、画面端で折り返してくる。変則的な動きなので手裏剣で相殺しづらい。 ファミコン版には登場しない。 ヨロイ ガイコツと同じ性能の矢を連射してくる甲冑武者。 体当たりによる気絶中にしか倒すことができない。 炎 同じ高さに留まり続けたりタイマーが0になると現れるお邪魔キャラ。 倒すことはできず、フラフラした動きで忍者くんを執拗に追いまわす。 接触しただけでミスとなる。 評価点 敵の行動パターンが各種設定されており、こちらの行動によって変化するので「覚えゲー」ではない、常に真新しいゲーム展開を見せてくれる。 倒すために近づこうとするとジャンプで逃げる一方、こちらが高さを変えると相手も高さを合わせてきて妙に人間くさい。 死体撃ちで追加点、玉集めボーナスステージ全取りのボーナス、手裏剣を一発も外さずにステージクリアでボーナス(*1)など稼ぎ要素が豊富。 本作では得点によるエクステンド方式なので、長時間プレイするには稼ぎテクの習得も必要となる。 ステージ開始時のBGMやアイテム取得音・手裏剣での相殺音など「音」の心地良さが印象的。 BGMは後にUPLがリリースするクレーンゲーム『ラッキークレーンシリーズ』(1986年発売)にもアレンジが加わった上で採用されている。 問題点 垂直ジャンプができず歯痒い場面が多い。 これは次回作以降改善されて、垂直ジャンプができるようになった。 ステージが岩山と城しかなく、年代を考えてみても当時からかなり単調な印象。 総評 コミカルなキャラクターや忍者らしく縦横無尽に動き回る爽快感、さまざまな稼ぎテクを利用したハイスコア狙い等、今でも充分楽しめる名作といえる。 体当たりや死体撃ちなどの基本的なシステムは以降の続編にも踏襲されており、本作の時点で既に完成度は高かったといえよう。 UPLは倒産してしまったものの移植に関しては恵まれている方なので、興味があればぜひプレイしてもらいたい。 移植 家庭用移植作品としてMSX版(84年発売)とFC版(85年5月10日発売)が存在する。発売元はどちらもジャレコ。FC版の詳細は後述。 敵が3種類削除されていたり敵の攻撃に予備動作がなかったりと荒削りな部分もあるが再現度は高め。 2008年12月からFC版がWiiのバーチャルコンソールで配信されている。 アーケード版はアーケードアーカイブスからPS4版が2014年5月15日に、SWITCH版が2018年4月5日に配信開始された。どちらも税込838円。 ちなみに前年(83年)にマイクロキャビンから同名タイトルの『忍者くん』(X1、88、MSX)という作品が発売されているが、ゲーム内容に全く関連はない。 続編 続編として『忍者くん 阿修羅ノ章』が1987年に登場している。 本作の移植を手掛けたジャレコから、FCオリジナルの派生作『忍者じゃじゃ丸くん』(1985年11月15日発売)が発売されシリーズ化もされた。 当初「忍者くんの弟が主役」という設定にはなっていたものの『忍者くん』シリーズの続編ではなく、あくまで独立したスピンオフ作品という位置付けになっている。 その後『じゃじゃ丸くん』シリーズが独自に発展していったことで、忍者くんの弟という設定も立ち消えとなっている。 しかし最新作『じゃじゃ丸の妖怪大決戦』では公式サイトのじゃじゃ丸のキャラ紹介に兄は忍者くんと明記されており、設定が復活している。 1992年にUPLが倒産したことで、ジャレコが『忍者くん』の版権を引き継ぎ、1994年にSFCで独自の続編『すーぱー忍者くん』が発売されている。 その後、2016年にハムスターがUPL作品の全権利を引き継いでおり、アーケードアーカイブス等もハムスターから発売となっている。 余談 UPLはメダルゲームの分野でも『忍者くんルーレット』として発売している。 『忍者くんルーレット』や上述の『ラッキークレーンシリーズ』などのプライスゲームの版権はUPL倒産後にユウビスが引き継いでいる。 海外でも『Ninja Kid』のタイトルでリリースされている。(アーケードのみ) ちなみにバンダイから出た『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境』の海外版も『Ninja Kid』のタイトルだが、双方に関連はない。 徳間書店のわんぱっくコミックス創刊号で、本作の名を冠した漫画が掲載された(作 やまと虹一)。後に「ファミコンまんが大全集①」として『チャレンジャー』(作 やまと虹一)『スペランカー』(作 熊倉いさお)らとともに単行本化もされている。 ただタイトルは「忍者くん外伝」となっており実質オリジナル作品である。 その漫画の主人公も「忍丸(しのびまる)」という名前でゲーム本編の低頭身でコミカルな忍者くんと異なり非常にカッコ良く描かれている。 現在は絶版のため入手障壁は高いが、単行本に掲載されているため月刊誌を買うことを思えば入手しやすい。 忍者くん 魔城の冒険 (FC) 【にんじゃくん まじょうのぼうけん】 ジャンル アクション 対応機種 ファミリーコンピュータ 発売元 ジャレコ 開発元 トーセ 発売日 1985年5月10日 定価 4,500円(税別) 配信 バーチャルコンソール【Wii】2008年12月09日/500Wiiポイント 判定 劣化ゲー ポイント 全てが少しずつ劣化ゲームの大枠は再現している 忍者くんシリーズ 概要(FC) 上記AC版のファミコン移植版。開発はトーセが担当した。 基本的な操作方法・システムに変更はないが、一部要素が削除されたほか、演出やキャラの挙動にも違いがある。 AC版からの変更点・問題点(FC) ハード的にある程度仕方がない面はあるが、移植に当たって劣化した点が少なくない。 ボリューム ステージ数が全18面に減少し、敵キャラも獅子舞、ガイコツ、トカゲの3種が削除された。AC版(全32面、敵キャラ8種)から約4割減。 操作性 忍者くんのジャンプや落下といった動きがややもっさり気味になり、アクションの爽快感は落ちた。 グラフィック 全体的にAC版に近いレベルで再現できているが、「点滅する棒状の何か」と化した巻物のように劣化が明白な部分もある。 ステージ開始前のグラデーション演出もハード的に再現が難しかったのか、画面が点滅する演出に変更。 月夜に城のシルエットという渋い絵に対して、派手に画面が明滅する演出がマッチするかは疑問。人によっては目が痛いかもしれない。 音楽 音がチープになったのはしょうがないにしても、ステージBGMの音程が妙に高くキンキンして耳障りな部分がある。 ノリのいいボーナスステージのBGMが地味なものに差し替えられたのも残念。 変更点・賛否両論点(FC) 段差から降りて敵を踏みつけた際の反動が減った AC版と比べて垂直落下で敵を踏みつけた後の反動と硬直がかなり少なくなり、気絶した敵の傍ですぐ動けるためテンポよく敵を倒せる。 原作の再現を求めるプレイヤーには違和感があるかもしれないが、この忍者らしいスピード感ある奇襲攻撃は中々小気味よく、数少ないFC版独自の面白さともいえる。 評価点(FC) ゲームの肝の部分は健在 上記の様々な劣化によりアクションゲームとして質が低下したことは否めないものの、「敵のパターンのスキをつき攻撃を当てる」という部分の面白さは失われていない。 タイトル画面 短いながらもBGMがつき、1P・2Pを選択するカーソルも回転する手裏剣になっており当時としては芸が細かい。 総評(FC) AC版と比較して操作性・ボリューム・グラフィック・サウンドとゲームを構成するほぼ全ての要素がややグレードダウンしており、 ハード的、時代的に仕方がない部分があるとしても劣化した移植という印象は否定しがたい。 とはいえゲーム性の根幹についてはしっかりと再現できており、1985年当時のファミコンのアクションゲームとして見れば悪くない出来ではある。
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F-ZERO FOR GAMEBOY ADVANCE 【えふぜろ ふぉー げーむぼーいあどばんす】 ジャンル 近未来SFレース 高解像度で見る 裏を見る 対応機種 ゲームボーイアドバンス 発売元 任天堂 開発元 エヌディーキューブ 発売日 2001年3月21日 定価 4,800円(税別) プレイ人数 【GBA】1~4人【3DS/WiiU】1人 セーブデータ 3個(バッテリーバックアップ) レーティング CERO A(全年齢対象)※バーチャルコンソール版より付加 周辺機器 GBA専用通信ケーブル対応 配信 【3DS】アンバサダー・プログラム【WiiU】バーチャルコンソール 2014年4月3日/702円 判定 良作 ポイント GBAのロンチタイトルの一つブルーファルコンが登場しない数少ない作品完成度は高いがマイナー F-ZEROシリーズリンク 概要 特徴及び評価点 賛否両論点 問題点 総評 その後の展開 概要 GBAのロンチタイトルの一つ。 過去のレーサーの活躍から25年が経過した設定になっているため、シリーズで唯一キャプテン・ファルコンが登場しない作品となっている。 しかし、原点回帰を狙ったコース設計やルール構築などから、今作もファンの期待を裏切らないゲームに仕上がった。 特徴及び評価点 ゲームシステムはスーパーファミコン版『F-ZERO』と同一。更に具体的に説明すると『F-ZERO』のコースとマシンをリニューアルした作品である。 マシンは隠し含めて10台、コースは4カップ20コース+αとボリュームアップしている。爽快なスピード感、手に汗握るタイムアタックの熱さはSFC版譲り。 マシンのスペックもかなり細かく設定されている。最高速度やブースト速度、マシンの耐久力、ブースト持続時間、コーナリング性能およびバランス、加速性能のグラフまであるので一目見るだけでマシンのおおよその傾向がわかる。 ただしブースト終了時の減速速度は表示されないので、加速状態が維持しやすいかどうかは使ってみないとわからない。 ロケットスタートが採用され、スタート前にアクセルを踏み、エンジンの最大出力とスタートのタイミングが合うと、ロケットスタートが成功する。 マシンの加速性能によってもアクセルを踏むタイミングも異なり、またスタートとのタイミングさえ合えばアクセルを離して途中で調整する事も可能。 アクセルを踏むタイミングが早すぎると、ロケットスタート同様の出だしで発進するが、その直後に大幅に減速してしまう(*1)。 SFC版では他のマシンに後ろから追突してもらうしかなく、N64版に至っては加速重視にすれば素早いスタートは可能だが、ロケットスタートではない。正式なロケットスタートが採用されたのは本作からである。 世界観はSFC版・Xから一新され、時系列としてはキャプテン・ファルコンの時代よりも未来にあたる。 ビッグブルー・ポートタウンといったお馴染みの地名は出ず、ミュートシティは「全覇権を別の都市に奪われてしまった」というかわいそうな設定に(おまけにゲーム中では未登場)。 SFC版ベースのためか基本的にパイロットは姿を見せず(名前も出ない)、スタッフロール後に公式イラストが表示されるのみ。 BGMは『F-ZERO X』と同じハードロック系。 GBA音源を生かしたギターの音色や、疾走感のある熱い曲調は他のシリーズ作同様評価が高い。 SFC版と比較しての本作からの新要素としては、通信機能を生かした4人までの対戦プレイがある。 いわゆる「ゲームシェアリング」として1カートリッジのみを使っての対戦も可能。 ある条件を満たすとチャンピオンシップというモードが出現。「専用のコースでタイムアタックを行なう」というもので、コースレコードを更新した場合、そのリプレイが保存される。 専用のコースはトラップ盛りだくさんで、難易度が非常に高いがうまく各セクションをクリアしていくことで高いスピード感の味わえるレイアウトであり完成度は高く、地雷を踏むことによる加速や合力走行と呼ばれるテクニックなど、SFC版のミュートシティIを彷彿とさせる攻略が行われた。 任天堂公式タイムアタック大会も開催され、高い盛り上がりを見せた。公式サイトにはチャンピオンシップの攻略資料のアーカイブが残っている。 SFCと同じく都市や大地の上空にコースが建設されている設定だが、都市部の背景がコースと全く一緒だったSFC版とは異なり遠近感が生まれるように描写されるようになった。特にコーナリング時は必見。 プレイヤー以外のマシンもコースアウトするようになり、邪魔なライバルや周回遅れを意図的にコースアウトさせる事が出来るようになった。 賛否両論点 『F-ZERO』と付いていながらいつものブルーファルコンやファイヤースティングレーといったマシン、ミュートシティやビッグブルーといったお馴染みのコースが何一つ登場しないことに嫌悪感を示し、「『F-ZERO』として楽しめない」という人もいる。 一応『F-ZERO』の象徴と言えるキャプテン・ファルコンとブルーファルコンについては「ファルコンMk-II」なるブルーファルコンに似た青いマシンが登場する。しかしパイロットの設定は日系の少年(青年?)であり、キャプテン・ファルコンとの関係は何なのかは一切不明。 テクニック「合力走法」 SFC版以来LRボタンで水平移動(スライド)するのがF-ZEROシリーズのお約束だが、水平移動すると斜めに移動するため正面方向への移動速度は低下する(*2)、というのが基本であった。しかし、今作では水平移動しても正面方向の速度が一切減速しないという仕様になっている。そのため、単なるストレートでも機体を斜めに向けて水平移動しながら進むほうが僅かに速くなる、という現象が発生する。早期からこのテクニックは発見されておりプレイヤー間で「合力走法」と名付けられ、後にチャンピオンシップモード公式大会の攻略記事において公式にも認知されるに至った。 関連するテクニックとして、あえて機体を横滑りさせてカーブとは逆方向に水平移動させながら曲がる「ドリフトターン」などのテクニックが存在する。 基本的にテクニックの1つなのだが、真っ直ぐ進むより斜めに進んだほうが速いというのはレースゲームとしてはかなり奇妙な仕様。 仕様なのか不具合なのか判断に困るが、GBAシリーズは一貫してこの仕様で統一されていることや明らかに機体を横滑りさせやすい機体が存在することから恐らくは意図的なもの。 今作最速機体であるジェットバーミリオンは特にこの合力走法との相性が良く、その低すぎるカーブ性能をドリフトターンでカバーしながら走ることが可能となっている。 そもそも公式ページに「ジェットバーミリオンのスライド移動力は128km」と明記されており、他車と比べて明らかに速く、また、根本的にドリフト(もしくは苦し紛れのブレーキ)を使わない限り多くのコーナーでクラッシュするというイロモノ機体の為、どう考えても意図的な仕様。 つまり、一見SFC版F-ZEROに似ているが、その実態はドリフト重視の作風に生まれ変わった全くの別物であり、その特徴はGBA版3作全てに当てはまっている。 なお、ドリフトする方法はゲーム中は一切説明されない。また仕様上LRボタンのスライドを酷使することになるので、ボタンの初期配置の「LR同時押しでブースト」が非常に暴発しやすいものとなっている。幸いキーコンフィグはあるので変えた方が無難。 『ブラストターン』の存在 コーナリング中、横滑りが発生している時にアクセルを入れ直すと滑りがリセットされるという仕様。 これの存在により、ドリフトを使わなくても十分曲がれる、コーナリング性能に優れた機体は「アクセルボタンを連打しているだけでどんなコーナーも簡単に曲がれるレースゲーム」状態。 初代にも似た仕様はあり、グリップ力の低いマシンはそれを使わなければまともに走れなかったが、あちらでは高速になるほどライン取りが重要になっていくシステムやゲームバランスが既に出来ており、アクセルボタンを連打していれば安心、などという事は無かった。 あとはブーストを使うタイミングを間違えなければいいだけだが、コーナリング性能の高いマシンで上述のドリフトを使えばブーストのタイミングを間違えても幾らでもフォロー可能なバランスに仕上がっている。 苛烈と言われるグランプリ・マスタークラスの他車からの追突も、そもそものゲームバランスがこれなので見極めればそこまで鬼畜なバランスというわけでもなくなっている。 「地雷を踏むと一時的に通常最高速を大きく超える仕様」と「通常最高速を超えた時、通常最高速までの減速が遅いマシン」のコンボ 後者は後述の最速マシンが該当する為、これの存在により最速を目指す場合は地雷踏みが必要不可欠となっている。 地雷を踏めば当然横に吹き飛ばされるので、ブラスト(再噴射)で横滑りを瞬時にリセットしなくてはならない。 右から当たったか左から当たったかでも当然、吹っ飛ぶ方向は違う。「地雷との闘い」が、このレースゲームの肝。 更に他車からの追突やグランプリ中にランダムに設置される爆弾でも通常最高速を超える為、このゲームのレコードは運に大きく委ねられている。 その為、TAS動画では琥珀色の車が常に爆風や追突を受けながら爆走している。 他車やランダム設置爆弾が存在しないチャンピオンシップでは驚く事に「TASでも人間とほぼ同じ走法」で走っている(つまり、並大抵の人力では再現がシビアな域)。 上記の通り、このゲームは一般的には「奇妙で特殊なレースゲーム」の色が非常に強くなっている。 その特殊さ故に深入りしない人が多いのか、国内ではファン同士の議論の跡も見られない。 CPUのマシンの挙動 画面外にいる自分より順位が一つ下のCPUのマシンは自機より一定以上は離れないようになっている。どれだけ自分のマシンの速度が出ていようが、大幅なショートカットをしようが、明らかに追いつくのが不可能な状況からでもワープして追いつき、1つミスをすれば抜き去れる位置にまでついてくる。 また、敵のマシンにはエネルギーの概念がないようで、コースアウトでリタイアすることはあるが、どれだけぶつかってもエネルギーがなくなってリタイアすることはない。 この仕様そのものはSFC版『F-ZERO』から引き継がれている。やはりGBAのマシンパワーでも画面外の全てのマシンの状況やエネルギーまで管理しきるのは難しかったのかもしれないが、理不尽に感じるかもしれない。 問題点 マシンのコーナリング性能が偏り気味で、性能A・Bのマシンはそれぞれ1種類のみと少ない。 性能表記自体はA~Eの5段階なのだが、D以下は隠しマシンでしか存在せず事実上Cが最低ランク。 最後の隠しマシンであり、タイムアタックに必須の性能を持つジェットバーミリオンの出現条件が困難。 ジェットバーミリオン以外の全てのマシンでマスタークラスの全てのカップをクリアする、またはチャンピオンシップで何百回も完走するというもの。 過去には公式サイトで「バーミリオンコード」というジェットバーミリオンを出現させるパスワードを配布するページがあったが、現在では配布が終了している。(*3)。 非公式のパスワード解析サイトもあったものの消滅していたが、また別の有志が作成し公開しているため非公式ながら一応生成は可能である(参考リンク)。 総評 「SFCの『F-ZERO』をほぼそのまま携帯機で楽しめる」というのは、新ハードであるGBAの性能の一端を示すには十分であるし、SFC初期の名作と呼ばれた元のゲームと同じかそれ以上のクオリティを本作においても発揮できていると言える。 そして、N64『F-ZERO X』が高い人気を博していたことや、10年前ほぼそのままの見た目から本作を見て受ける印象がいまいちであったにもかかわらず、蓋を開ければレースゲームとして非常に高い完成度を誇った今作はGBAの普及に一役買ったと言えなくもない。 しかし、本作の特徴である世界観の一新が今後の作品では全く触れられることがなかったため、シリーズ中では本流から外れた地味な位置づけとなっている。 その後の展開 本作発売から3年後に同じくGBAでアニメ版とタイアップした『F-ZERO ファルコン伝説』と、ファルコン伝説のパワーアップ版であり現時点でのシリーズ最終作『F-ZERO CLIMAX』が発売された。 システムは本作と同じ2Dのものだが、こちらはエネルギー消費制のブーストやサイド・スピンアタックといったXの要素も取り入れている。 2024年3月29日より『ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online』にて配信開始。
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戦国無双2 Empires 【せんごくむそうつー えんぱいあーず】 ジャンル タクティカルアクション 対応機種 プレイステーション2 メディア DVD-ROM 1枚 発売元 コーエー 開発元 コーエー(オメガフォース) 発売日 2006年11月16日 定価 【通常版】4,494円【TREASURE BOX(限定版)】7,644円【プレミアムBOX(無印とのセット)】8,820円 プレイ人数 1~2人 セーブデータ 677KB以上 レーティング CERO B(12歳以上対象) 周辺機器 PlayStation BB Unit 対応(HDDのみ) 廉価版 PlayStation2 the Best 2008年11月13日/2,604円同・価格再改定版 2010年7月29日/1,554円 判定 良作 無双シリーズリンク 概要 評価点 内政 戦闘 その他 難点 総評 概要 評価の高い『戦国無双2』のアクションと、『真・三國無双4 Empires』をベースとしたシミュレーションを融合させた、無双シリーズですっかりおなじみになった派生作。 プレイヤーは6本の地方シナリオ・5本の全国シナリオの中から1本を選び、決められたエリアの統一を目指して内政と戦闘を繰り返す。 地方統一後はそのまま全国統一へと移行することができる。 評価点 内政 政策の種類がきわめて豊富である 大きく分けると内政策である「内政」「軍備」「微兵」「人事」「教育」「交渉」「調略」と、戦場策である「戦場工作」「部隊工作」「部隊補強」「戦場計略」「陣形」という12のカテゴリに分かれる。 各カテゴリ内にも5~10種程度の政策がある。内政策は費用や効果の差異が充実しており、状況に応じて無駄なく選ぶことができる。戦場策に至っては効果が千差万別で、戦の目的やプレイヤーの趣向に応じて多様な戦い方を可能にする。 政策の選び方までプレイヤーの意思で決定できる。 政策を2つ実行できる代わりに内容は選べない「提案」、内容を選べるが1つしか実行できない「政策」、内容を選べないうえに行動回数を全て消費してしまうが友好度は大きく上がる「委任」の3種類がある。 一見すると内容が選べる「政策」以外は選ぶ価値がないものに見えるかもしれないが、行動力の制約や新政策の入手などの要素によって無駄なシステムというものはない。 武将数も政策数も極めて多く、政策ごとに提案できる武将は限られている(*1)。そのため、能力の劣る一般武将についても政策入手のために登用するという意味を持たせている。 決して内政を疎かにできないゲームバランス 兵力0かつ無策でも戦を行うことは可能であるが、よほどの上級者でもない限り敵の体力や陣形の前に苦戦を強いられる。武器の強化なども含めて戦の事前準備はガチで重要。 しかし決して不要なことをやらされるわけではない。例えば戦線ごとに操作武将を剣系統に限定しておくことで他系統の武器強化を省略するなど、プレイヤーの工夫を活かすことができる。 勿論、やり込んだプレイヤーであれば育ち切った武将一人で出陣し、文字通り無双する事も可能。難易度地獄はやり応えがある。 「教育」では、武将のステータスアップだけではなく技能を習得させることもできる。 これも運が絡むとはいえ、1度スティールしたレア技能を所属する全武将に習得させることも理論上は可能。引き継ぎ機能を使った場合にこの要素は重宝する。 本編では特定の武将以外決して使えなかった二段跳びの技能も全武将に習得させることができる。これにより殆ど恩恵がなかった忍びの道の存在意義がかなり増した。 茶道や問答は武将によってセリフが様々。見るだけでも楽しめる。 戦闘 約400名の武将でプレイ可能。無双武将だけでなく、一般武将も操作できる。 限界はあるが、武器系統・特殊技・能力値などによってかなり実力が細分化されている。 能力値については一人ずつ詳しく設定され、史実での猛将は攻撃や防御が高く、知将は無双や移動力が高いといった傾向が見られる。ここはさすがコーエーといったところ。 例外はあるが政治関係は刀、猛将は槍、大名は薙刀と分けられている。 特殊技は「名乗り+援護射撃」や「分身+投げ」など、既存武将のものの組み合わせになっている。分身は3体出現、援護射撃は火縄銃など、既存武将ではLv3の特殊技が1回の動作で出せるのが強みである。 上記の特殊技の仕様に加えチャージ攻撃全段に武器属性が発動するなど、モーションやステータスの貧弱さをカバーでき、相手が無双武将だろうと引けを取らない性能になっている。 味方武将との共闘感はシリーズ作品中で最高。 「全軍攻撃」などの大雑把な指示だけでなく、「拠点攻撃」「拠点防御」「敵将撃破」などの詳細な指示を軍団ごとに設定することができる。 もちろん、指示を出していない武将もAIの判断で戦をしてくれる。 戦線の維持が重要な本作では、味方もそう簡単には敗走しない。士気や陣形によっては敵将を撃破することも決して珍しくはない。 本作では「無双連携奥義」という、最大4人で連携して繰り出すことが出来る超強力な必殺ワザがある。連携する人数が多ければ多いほど攻撃力が強化され、親子・兄弟がいると攻撃力はさらに増す。 一人で敵陣に切り込んでいくのが不安な場合は、誰かに自分を援護させ、いつでも連携奥義を出せるようにすると楽に戦闘が進められる。 本陣から隣接する自軍拠点には補給線が伸び、その内側は自軍の領域となる。これは敵軍についても同様であり、この戦線を押し上げて敵本陣を落とすのが主な目的。 それぞれの支配領域内では能力にかなりの補正がかかるので、突出しての戦は無謀である。また、自軍本陣から敵軍本陣まで補給線をつなげないと決して勝利できない(*2)ので、オリジナルの戦国無双2で言われる「どんな状況でも敵総大将さえ倒せば勝利」といった不自然さは解消されている。 この補給線によって複数の進軍経路が確保できる。たとえ寡兵であっても敵の主力をCPUに引きつけさせておき、自らは別ルートを通って迅速に敵本陣を急襲するといった歴史の主役のような荒業も可能。 他にも策や陣形の選択が極めて大きな意味を持つなど、他のシリーズ作品よりも戦闘部分はかなり「実際の戦」やSLGシリーズに近付けられている。 武器レベルは内政で上げるので、戦後の褒賞は武器の追加要素になっている。戦国無双2では運の要素が強かった武器の属性や付加能力は自由にカスタマイズ可能。 防衛戦では兵力と防御度で勝っていれば、合戦を経ずとも防衛に成功できる。武将を配置して全将徴兵などを行っておくだけで防衛戦の手間を省くことができるので非常にテンポをよく出来る。 支配国数が一定数増えるごとに敵が強化される仕組みになっている。強力な家臣団を編成し、武器を強化してもマンネリになることはない。 合戦開始と同時に敵武将の寝返りミッションが発生することがある。ミッションを成功させればその武将が自軍へ寝返り、合戦後に登用もできる。逆に味方武将の裏切りミッションもあり、成功させれば裏切りを阻止できる。 アクション面では、2にあったLv3無双のバグや忠勝の名乗りで上昇する無双ゲージの量などが修正されている。 その他 地方モードは単にクリアまでが短いというだけでなく、地方ごとに異なる趣がある。 中部地方は無双武将が多く激戦区である一方、中国四国は無双武将がいないのでシビアな戦いを味わうことができる。 各地方モードでしか手に入らない政策カードもある。 全国シナリオの群雄割拠は、時代を無視して全ての武将配置を自分で決定できるというフリーシナリオ。自分の望み通りの勢力を作って残りはランダムに決定することもできるし、最初からランダム機能を使って完全なランダム設定を楽しむこともできる。 条件を満たすとみられる掛け合いイベントが非常に多い。つながりのある無双武将同士の会話はもちろん、本来ならば接点のない無双武将同士の会話や史実でのエピソードなど内容も多岐。 内政が面倒だという場合のために、参戦武将や戦場策を自由に設定できる模擬演武も搭載。ステージごとに史実や架空の戦が設定されており、武将を変更せずともそのままでも遊べる。 戦国無双2で好評のアクションやシステム、BGMは健在。ムービーも、一部は特殊合戦などの条件を満たすことで登場する。 出陣の際に戦闘BGMを自由に選ぶことが出来るようになった。BGMは戦国無双2だけではなく、戦国無双(初代)のものも収録。 前作と本作のBGMは意味不明だったBoAの曲以外は全て網羅してある。お気に入りのBGMを流すのも一興。 武将を登用したり掛け合いを見たりと様々な条件で画廊が開くのだが、その枚数が非常に充実している。 内政の程度や登用可能武将数の設定など、プレイヤーが制限プレイを行いやすい環境になっている。最高難易度+内政制限プレイは、無双シリーズは簡単すぎるというプレイヤーにとっても歯ごたえのあるもの。 難点 相対的な爽快感の低下 内政の比重もそれなりにあるので、気軽に敵を斬るプレイはやりづらい。 敵の数も比較的少ない。500人斬りでレア武器取得、1000人斬りを達成すれば能力限界の解除という非常に大きなオマケ要素があるが、裏を返せばこれだけの人数を斬るのはかなり大変だということである。 魅力を生んでいる面もあるとはいえ、やはり前述したとおり地方ごとの無双武将の数の偏向はかなり目立つ。といってもどうしようもないのだが。 『戦国無双2 猛将伝』の前に発売した作品であるため、2猛将伝でプレイアブルになった前田利家・長宗我部元親は無双武将としてではなく、一般武将としてしか登場しない。ただし無双武将並に強い。また、元親は無双武将になってからは差別化しやすくするためか三味線となっているが当作品では史実同様槍装備である。 2でNPCだった柴田勝家・佐々木小次郎は、他武将のモーションをつなぎ合わせたツギハギ武将である。だが一部の無双武将より使いやすく、特に勝家はトップクラスの強さを誇るとされる。 今川義元にいたっては彼が死亡した翌年のシナリオからしかないため登場すらしない(今川家の当主は息子の氏真)。まあ、無双では義元はネタキャラとして定着しているので仕方ないかもしれないが…。 マップの使い回し。手取川=杭瀬川などの天候違いは2でもあったが、本作では中国地方に関ヶ原、九州地方に川中島のマップをそのまま天候すら変えずに使い回している。 全国マップの国の数がステージの数より多いため、使いまわしはやむをえなかっただろう。 地方統一戦では選んだ地方の国がさらに細分化されているため、より顕著になる。 自分の分身である「新武将」を作成することができるが、いまひとつの出来。 三國無双のようなオリジナルモデルではなく、一般武将や護衛武将などのモデルからしか選べない。防具パーツの変更などはない。 選べるモーションも全キャラ分ではなく、光秀や家康などのモーションが選択不可能。さらに男女別にも制限がかかっているため「男性武将に女性武将のモーションをさせてミスマッチを楽しむ」といったことができない。 細かい能力設定や奥義文字を選べる点は高評価なのだが…。 三國無双Empiresシリーズのようなエンディングムービーもない(*3)。 モデル鑑賞で攻撃モーションを見れるのだが、無双奥義中のモーションは何故か通常攻撃を行うようになっており、○ボタン押しっぱなしのモーションを見ることができない。 薙刀モーションの武将の場合無双秘奥義の発動ボイスがレベル2以降正常に再生されない不具合もあった。(こちらはHDバージョンでも修正されなかった) 総評 戦国シリーズでは初のEmpiresとはいえ、真・三國無双3と4、それぞれのEmpiresでの積み重ねもあって、完成度はかなり高い。 特に、「初めは耐え、戦場策や陣形を駆使して劣勢を跳ね返し、徐々に戦場を制圧して勝利を掴む」という歴史の主人公のような立ち回りは、「自分が歴史上の人物の1人として戦場に立つ」という無双シリーズならではの要素。 また、無双シリーズのナンバリングで「一騎当千の爽快感」が味わえるならば、本作では「チームで勝利をもぎ取る達成感」が味わえると言える。 「個人プレーでは物足りなくなった」という人や「もう少し歴史の要素も味わいたい」という人の望みを見事に叶えてみせた、コーエーの強みを前面に出した名作である。